4-4-3-2. 中型船の問題点
4-4-3-2-1. 乗降
中型船の乗降における問題点は以下のとおりである。
1]舷門の幅が車いすで通行可能な800mm以上確保されていないケースがある
2]舷門の段差(コーミング段差)が解消されていないケースがある
○ 高速船等スペースに制約がある船舶では、舷門の幅を800mm以上確保できないケースがあった。
○ 主要な舷門ではコーミング段差の解消が図られているものの、船底近くの舷門はコーミング段差が高く車いすが通行できないばかりでなく、高齢者や車いす以外の肢体障害者、視覚障害者等がつまずいて転倒する等の危険があるケースもあった。
以上から中型船においては大型船同様、主要な舷門での乗降には問題がないものの実際に乗降に使用する全ての舷門での乗降には舷門幅、段差の面で問題があると思われる。
4-4-3-2-2. 水平移動
中型船における水平移動における問題点は以下の通りである。
1]舷門から高齢者や身体障害者が利用可能な旅客室までの通路幅が車いすで通行可能な800mm以上確保されていないケースがある
2]視覚障害者にとって必要な誘導・警告ブロックの敷設がない
3]高齢者や障害者が安全に船内移動をするために必要な手すりの設置がないケースがある
○ 中型船では、主要な舷門から高齢者や身体障害者が利用可能な旅客室までの主要な通路幅については、車いすが通行可能とされている800mmが確保されている船が多かった。しかし、一方でスペースの関係から800mm未満の船舶もあり、船内専用の幅の狭い車いすを設置し船内で使用してもらうことにより、問題の解決を図っていた。
○ 誘導・警告ブロックの船内通路における設置はなく、視覚障害者の水平移動が困難であった。
○ 中型船では、大型船と比較して船内の通路は椅子席間の通路に限られるケースが多いため、手すりが設置されているケースも少なかった。移動に手すりが必要な高齢者等は椅子席の背もたれにつかまりながら移動していた。しかし、荒天時等の突然の大きなゆれ等には椅子席の背もたれでは転倒等の危険もあることから、手すりの設置が必要と思われる。
以上から中型船においては車いすで通行可能な800mm以上の通路幅の確保、誘導・警告ブロックの敷設、手すりの設置といった問題点があると思われる。