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4-4-2-3. その他

 

4-4-2-3-1. 情報認識

 

海上交通における情報認識の問題点については、海上交通施設内における情報認識と海上交通施設の設備に関する情報認識の問題点がある。

海上交通施設内における情報認識の問題点とは、運賃等に関する情報、旅客船等の発着、行先等に関する情報、安全に関する情報や海上交通施設の構造に関する情報を高齢者や視覚障害者、聴覚障害者、外国人等を含む全ての利用者が認識可能とすることである。

海上交通施設の設備に関する情報認識の問題点については、海上交通施設を高齢者や障害者等が利用する際に必要な情報を海上交通施設内のみではなく、インターネット等の情報メディアを利用して海上交通の利用前に誰でも容易に認識可能とすることである。

 

4-4-2-3-2. 安全性

 

海上交通における安全性の問題については、以下の問題点が考えられる。

一つは、海上交通特有の問題点である、ゆれの影響により、高齢者や車いす使用者、車いす以外の肢体不自由者、視覚障害者等の歩行困難者が転倒の危険があり、さらには車いす使用者にとっては、車いすの暴走の危険があり、ゆれの影響に対する安全確保の問題がある。

また、旅客船ターミナルや船内において段差(コーミング段差)等が存在すると高齢者や車いす以外の肢体障害者がつまずいて転倒する等の危険があり、段差に対する安全確保の問題がある。

さらに、デッキ等から高齢者や障害者等を含む全ての利用者が誤って海面に転落するという危険もあり、海面への転落防止のための安全確保の問題もある。

一方、非常時には緊急避難の方法等についての高齢者や障害者等の安全確保の問題もある。

 

4-4-2-3-3. 乗船時間

 

海上交通特有の問題として、乗船時間の問題も考えられる。乗船時間の違いによって船内での利用者の行動は異なるものと想定されることより、これに伴う副次的行程のニーズも異なり、必要とされる施設項目が異なると想定される。

例えば、乗船時間が30分以内と比較的短いケースでは、利用者の行動は、乗船・着席・下船といった基本的な行程に限定されることが多く、トイレを利用する、デッキに出て景色を楽しむ等の副次的行程とこれに伴う船内の移動を必要としないケースも多いと考えられる。

一方、乗船時間が数時間以上というケースでは、トイレを利用する、デッキに出て景色を楽しむといった副次的行程に加えて、飲食、入浴等の様々な副次的行程が必要になる可能性もある。

 

 

 

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