2.6 まとめ
軽量化ホームドアの開発は、低コスト化に向け軽量化を図ることが、より多くの路線の駅にホームドアが設置され広く普及していくことになる、という方針のもとに研究した。
このために、水平荷重条件の設定、軽量化ホームドアの設計・製作・評価ならびに施工方法の検討を行った。その結果を以下にまとめる。
(1) 水平荷重条件の設定
腰丈式ホームドアが受ける水平荷重は、ドア頂部(1200〜1300mm)で980N/m(100kgf/m)を考慮することとした。
ただし、風荷重は別途設定すること。
(2) 試作機の開発
水平荷重条件980N/m(100kgf/m)の軽量化ホームドア本体は、フレームやカバーの材料等の部材および支持装置部品(リニアガイド)を減らすことができ、重量約40kg、重量比約20%の低減となった。軽量化ホームドアの水平荷重耐力は980N/m(100kgf/m)あることが実測され、設計目標値をクリアした。なお、実用化に向けては耐久性の検証が必要である。
また、さらなる軽量化を狙った薄板形ホームドアも試作し、重量約60kg、重量比約30%の低減が図れた。薄板形ホームドアの水平荷重耐力は980N/m(100kgf/m)あることが実測された。しかし、薄板形ホームドア試作機は頂部での水平荷重耐力はクリアしたものの、ドア下部の振れ等別の改善点が残った。
ドア開口寸法は、昨年度の2000mmに対し2200mmと拡幅し、停止精度に対する余裕を向上させた。
軽量化ホームドア試作機に対する委員、幹事のアンケート結果では、「1]手で押した場合」「2]もたれかかった場合」には「十分すぎる」と「適当」との回答が約9割、「不十分」との回答が約1割であった。「3]倒れこみの場合」「4]ぶつかった場合」には「十分すぎる」と「適当」との回答が約8割「不十分」との回答が約2割であった。また、基本的な強度は問題ないが、耐久性等の実用化対応の確認が必要、というのが大半の意見・見解であった。
(3) 施工方法
腰丈式ホームドアの施工方法として、各種ホーム構造への設置方法の検討、ホームドアの締結について机上検討を行った。
この結果、施工については、駅の構造や工事の条件によって大きく異なるが、ホームドア本体の重量軽減と、水平荷重2450N/m(250kgf/m)から980N/m(100kgf/m)、荷重比60%の低減により、
(a) ホームドア建て付け前の締結部加工、締結作業の軽減化
(b) ホームドア搬入作業の容易化および設置作業の効率向上
の効果が見込める。