時代に逆行(?)児童館
社団法人 全国児童館連合会
自分がこどもだった頃を思い出してみましょう。学校は楽しかったですか?どんな遊びをしていましたか?友だちと野球をしたり、遅くまで虫取りや鬼ごっこをしたりという経験はあったでしょうか?家族の人との思いでは何かありますか?地域のおじさんやおばさんはどうでしたか?
毎日色々な人と会い、喧嘩したり、誉められたり、怒られたりしてできたこうした思いでや記憶は、良いにつけ悪いにつけ強烈な印象として心の中に残り、現在おとなになった私たちの生活に何らかの影響を及ぼしているはずです。自分の親の子育ての仕方が、知らず知らずに自分のこどもの育て方に反映されていたり、こどもの頃の喜びや発見が将来への夢となり、現在の自分の職業に繋がっていたりということはよくあるものです。
ですから、色々な種類の質の良い体験(遊び)や学習、多くの人との出会い、ふれあいの機会を持つことは思考の幅を広げ、実社会へと漕ぎ出したときに直面するであろう種々多様な問題に立ち向かう力を養うためにもとても大切なことだと思います。
一方現在の社会を見てみるとどうでしょう。あちらこちらに手軽に色々な物が手に入るコンビニエンスストアなどが建ったり、誰もが携帯電話を持っていたりと、便利で豊かな時代になりました。子どもたちの遊びの様子も時代の変化とともに随分様変わりし、今では子どもたちの遊びのツールとしてコンピューターゲームはなくてはならないものになってきていますし、こどもがパソコンに向かう姿も珍しいことではなくなってきました。人とコミュニケーションを取るための方法も、直接人と会うことなくパソコンメールや携帯電話などの機械を通して済ますことも可能になっています。
これは我々大人が作り上げた環境ですが、このまま行くとこうした手段を使用する年齢層がどんどん下がっていくことは必至でありましょう。別に今の状況を真っ向から否定しようという訳ではありません。コンピューターゲームは確かに面白いですし、メールも携帯も便利な品で、現に私も仕事をこなすためにはなくてはならない必需品です。ただ、こうしたコミュニケーション手段が重宝され始めるとともに、言葉や目・身体・しぐさを通して伝え合ったり、相手に気を使ったりという人間本来のコミュニケーション手段が取れない人が増えてきているようで危機感をもつのです。
児童館はこうした時代に逆行(?)し、暖かい血のかよった、人と人とのふれあいがなくては成り立たない場所です。子どもたちも大人たちもそれを求めて児童館へやって来るのです。「ふれ愛リポート」この中には、全国30の児童館でおこなわれた人と人とのふれあいが収められています。この本が少しでも皆様のお役に立てればと願ってやみません。