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II. 地域子育て支援―その先駆的実践と展開

 

保育所が制度として確立し、充実をとげる一方で、地方自治体の保育ママ、保育室、あるいは無認可保育施設、ベビーホテル、託児チェーンなどと混合体制を形成し、今日に到っている。

かかるなか、保育所側からの一時的、緊急的な保育ニードを充足する保育センター的役割を担う実践が現れてきた。これが中央児童福祉審議会に反映(「今後の保育対策の推進について」1988((昭和63))年11月)され、90年代当初には地域保育センター活動事業となったのである。

 

1. 地域子育て支援の試行

 

保育所の地域子育て支援が公式にとりあげられたのは、1993(平成5)年4月、「保育所地域子育てモデル事業の実施について(厚生省児童家庭局長通知、307号)」においてである。一時的保育、緊急保育、あるいは子育て相談、育児教室に取り組んできた64保育所が、地域子育てモデル事業として指定を受けたことに始まる。

ここでは、地域全体での支援基盤の形成を目指すことを事業目的とし、1]育児不安等についての相談指導、2]子育てサークル等の育成と支援、3]特別保育事業の積極的実施を内容とするものとされた。スタッフとして、支援活動の企画、調整、実施を専門に担当する「指導者」、及び補助業務を行う「担当者」を配置するとしたのである。

その試行結果では、第1に利用状況として、1]もっぱら3歳未満児の親が相談に訪れていること。2]他の親との情報交換ができ、しかも子どもを安全に遊ばせられる場であることに、強い満足度をおぼえている。

 

 

 

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