内容は当時から保育内容、ケース検討のご指導いただいていた先生のアドバイスを要としていきました。そしてその中に織り交ぜたことが、「園舎を地域に開いていこう」という計画です。「たんぽぽ文庫」という子どもの本の部屋の計画をもち、この部屋を玄関の一番正面入り口に造り、新通保育園でやっている、子どもに素晴らしい本を渡すこと、家庭の中に本が楽しみとして入ること、そして子どもの本を間にして、親と子どものこころの線がしっかりとつながっていき、様々な人生の一大事という場面をも家族で乗り越えていく力を持つことを願って。
賛沢だという批判も受けつつ、私たち自身が夢や楽しみを持って穏やかな保育をできる日々を望み、実現へと向けて計画したのでした。その私設図書館たんぽぽが併せて地域子育て支援センターたんぽぽとして、活動していくこととなったのです。地域との交流を以前から自然な形で行っていて、十分とはいえないまでも受け皿はあるという手応えも感じていたことから、私たちのペースで、楽しみながらやっていくことができるという予感もありました。子どもの本をきっかけにして地域の壊れていくかもしれないことをただ見ているのではなく、その新しいネットワーク造りをしていくこと、地域の再構築をしていくことを微力でもやっていきたいと考えたのです。しかし、まだ、当時はしっかりとした理念を持って、準備して、というよりも、とにかく実践していきながら、その都度柔軟に、建設的に軌道を整える作業をしていこう、というのが実際の姿だったと思います。