なかでも、子どもの頃からずっと折り紙遊びの好きなお母さんがいて、次々と折るみごとな作品に感嘆の声が上がります。私はそれを生かそうと急いで新聞紙を用意しますと、即席の兜づくりミニミニ講習会です、おそろいの兜をかぶって子どもたちは楽しそうですし、お母さんたちの表情も輝いています。
自然で自由なくつろぎと軟らかな雰囲気を大切にしたいと思っていますので、折り紙を置いておくなど、ちょっとした変化はつけてもプログラム的なものはありません。ただ、心身両面からのスキンシップとして親子遊びだけは提供したいと考えていましたが、忙しい保育士への遠慮と私が専門外のことをやることへの迷いのままに回を重ねておりました。
ある時、少しならできるというお母さんがいらしてその場でのお願いを快く引き受けてくださいました。そうなりますと、お母さんたちのあいだに心のエネルギーが流れあうのでしょうか、それぞれが積極的、協力的となって、親子遊びを満喫するひとときを楽しんだのです。私には、母と子、母同士、そして子ども同士の間にまで、快い情緒の響きあいが感じられました。心地よさは私だけのものではなかったようで、次回お母さんたちから、「子どもが気に入ったみたい、うちで一人で同じような動きしてるんですよ。覚えてるんですね」と希望があり、毎回終了時には、子どもを囲む形で輪になって座り、誰かがリードしてくれる親子遊びが定着しつつあります。お母さんも私も子どもの正直な反応に助けられ励まされているのです。