地域のなかの子育て
最近、戸外や公園であまり子どもたちを見かけなくなりました。子どもの出生数が急速に減少し、加えて幼い子どもに対する教育的期待が大きく、塾通い等のため子どもが自由に群れをなして遊ぶという姿が少なくなってきたのです。お母様方もあまり近所つき合いや友達つき合いをしなくなりました。だから小さな子ども連れがはばかられる場所に行かなければならない時、気軽に近所や友達に頼めない、頼みたくないのです。余計な気を使うくらいならお金を出してもいいから保育園の一時預かりへ……。「一時預かりのための手続きはどうすればいいですか」という相談が少しずつ増えてきました。お隣で、何はなくてもお昼をご馳走になったり、お返しにうちのおやつを差し上げたり、悪戯して近所のおじいちゃんに叱られたりという地域ぐるみの子育ての時代はもうないのでしょうか。普段から行き来していたら、知らない保育園で一日泣いて過ごすというかわいそうなことをしないで済むのではと思うのです。
けんか
年々出生率が低下し、高齢化が進むなかで、青少年のものの考え方や非行の傾向も様変わりしてきています。昔の子育てが全てよかったとは言い切れませんが、たっぷりの自然と少しの貧しさが子育てには必要だということを何かの本で読んだことがあります。今、欲しいものが全て手に入り、回りの大人は自分の思いどおりに動き、自由にしたいことができる。やがて社会という集団のなかに入っていった時、初めて自分の思いどおりにならないことにぶつかり、それを乗り越える術を見いだせないまま、自殺したり、意味不明の非行に走ったり、限りない可能性を秘めた未来を、自らの手で断ち切る新聞記事が後を絶ちません。