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伊達市:人口3万5千人の町に274人の知的障害者が地域で暮らす(1999.10.1現在)

これからの高齢社会では、全ての人が障害者になりうる時代

障害者が暮らしやすい街であれば、高齢者にも全ての人にとって住みやすい街

1. 障害者が町に慣れる、町が障害者に慣れる

2. 障害を持つ人たちの人生を切り開く3つの目標(障害者が地域で生きるためには)

a.本人の努力:しかし、今の医学等では障害をなくすことはできない

「普通の人に近付く」ことだけを求めるべきではない

従来のリハビリテーションや障害児教育はこの視点のみを強調しすぎた

b.援助する人たちのささえ

援切者の役割は「障害をなくす」ことではない

「障害をありのままに受け入れ、障害を持ったままで生きられる」ための支援

「障害」ゆえの特別なニーズに的確に応える支援、障害への配慮が必要

c.地域の人たちの理解と支援

伊達市の市民は障害をもつ人たちとの付き合い方が上手になった

「伊達の市民はあったかい」「市民がいつもやさしく見守ってくれる」

「障害をもつ人の力が小さくても、市民の力で生きられるようになった」(小林)

「支えられる市民」が育っためには、地域の人々に障害者の生活が見えていること

すなわち施設や養護学校などではなく、日頃、「共に生きる」経験が重要となる

3. 強い人も弱い人も共に支え合って生きる地域づくり

「障害をもつ人の人生は綱渡り」(あやうい状況の中で常に支えを必要とする)

cf.サーカスの綱渡りももしもの時に備えて、下に網を張り巡らす

障害を持つ人々が地域で生きる時も、地域にこのような「網の目」が必要

→市民の支援を「網の目」に⇒「地域を紡ぐ(つむぐ)」(小林)

保健・医療・福祉・教育・保育などの専門家の「横糸」

市民や友人・家族・障害者本人などの「縦糸」

→「横糸」と「縦糸」とを縦横無尽に紡ぎ合わせる⇒「支援の網の目」(石渡)

こうした「支援の網の目」があって、障害者は安心して地域で暮らせる

この「網の目」は障害者だけでなく、高齢者・小さな子供・病気の人などにも意義

このような社会が本当の「ノーマライゼーション社会」「バリアフリー社会」

 

まとめ

 

1]ノーマライゼーション社会とは

1. 全ての人にとって暮らしやすい社会

2. 必要な支援が的確提供される社会

3. 共に支え合って生きる社会

2]保育関係者に望むこと

1. 統合保育をもっともっと進め、「共に生きる」ことの意義を確認してほしい

2. 「障害」ゆえの特別なニーズに的確に応える援助技術を発展させてほしい

3. 「共に生きる」ことの意義を社会に発信し、ノーマライゼーションの実現に寄与

「障害者と共に生きることは障害のない人にとってこそ重要である」(安積)

 

 

 

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