提案要旨
期待される乳児保育
−乳児に優しい保健活動−
上村恵子(埼玉県・みつばさ愛育園長)
1. 保育所保育指針の再度の改訂に思う
乳児保育が一般化され、産休明け保育が多くの園で実施されるようになり、保健的内容が重視されて、嘱託医、看護職の役割がはっきりと記述されたことと、プライバシーの侵害という理由で兎角タブー視されてきた母子健康手帳の活用の必要性を認められましたことは、過去40年の保育経験の中で、画期的なことと大変嬉しく思っております。
私の保育人生のなかで、大きな力となりましたのは、看護職を採用したことでした。
清潔な乳児保育を指導できる看護婦が必要でしたが、幸いにして、自らの子育てと小児科の臨床経験のある看護職の就職希望者が現れ、考え方の一致が新しい希望のスタートとなりました。
乳児は幼児に比べ、すべての面で未熟なため、外敵に対しても抵抗力に欠けています。従って、乳児保育はあらゆる面で、危険から守って上げなくてはなりません。
乳児保育は保健衛生と表裏一体ですから、先ず安全を大前提としなければなりません。
乳児期は余りにも未発達であるために、保育者がすべてのことに手助けが必要です。
乳児保育で最も大切なことは、職業的良心を第一に心がけることです。
このことが全職員に徹底するならば、乳児の安全は、かなり守られると思います。
2. 乳児保育の人的資源
保育士、看護婦、栄養士、用務員等、調理や食事の介助等、すべて乳児と関わる者は健康であることが要求されます。
従って、消化器疾患のみならず、感染症はすべて園児に伝染の恐れがあることを想定して手洗いや消毒を励行し、殊に乳児に関わる職員は毎月、検便を実施しましょう。
(赤痢、サルモネラ、病原性大腸菌)衛生状態の悪い外国に旅行をした場合も検便の結果をみるまでは出勤を控えましょう。