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パネルディスカッション

期待される乳児保育

司会者 大木師磋生(日本保育園保健協議会常任理事)

パネラー 上村恵子(埼玉県・みつばさ愛育園長)

山村芙美子(千葉市立花見川第一保育所看護婦)

池田千賀子(東京都・昭島ゆりかご第二保育園栄養士)

 

提案要旨

期待される乳児保育

大木師磋生(日本保育園保健協議会常任理事)

 

今回、児童福祉法が改正され、保育所保育指針も社会環境の変化に対応して改訂されることになった。本邦の保育事業は100年余の歴史があり、それぞれの社会的背景に適応して実施されてきた。初期には対象年齢も3歳以上であり、保育時間も原則として8時間となっていたが、昭和44年に乳児保育が行われ、今回の改訂では対象年齢、保育時間も状況に応じて考慮されるようになり、乳児保育の一般化による位置づけ、看護婦と嘱託医の役割ならびに保育所との連携が明文化された。

乳児保育を実施するには、乳児の保健学的特性の知識と理解をもっていなければならない。乳児は成人と異なり、発育・発達の過程であり、体重は、1年間に3倍、身長も1/2倍増となる。このような急速の発育は人の一生の間に他時期でみられず、発達も発声、環境の認識などと急激な発展をとげる時期である。また、身体的抵抗力も少なく未熟であり、感染にも弱く、少しの環境変化に大きく左右される。保育内容によっては、その子どもの一生の発育・発達に影響することがある。乳幼児突然死症候群も0歳児が90%を占め大きな問題となっているところであるが、突然死症候群ばかりではなく、乳児保育は子どもの日常生活を充分に観察するとともに、注意深い保育と保健的知識が要求される。僅かな保健的判断の誤りから、病気の重症化とか大きな事故につながることがある。離乳食も時代によって多くの変遷がみられたが、平成8年に「離乳食の基本」が改定され、新たな指針が示された。

本日は社会状況の変化とニーズに応えて、園長さん、看護婦さんに栄養士さんのご発言を頂き、嘱託医である私もまじえて、ご参加の保育士さんをはじめあらゆる保育関係職種の方々と乳児保育についてお考え頂き、皆さんと、より良き子どもの育成に努めたいと願っているところである。

 

 

 

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