日本財団 図書館


(6)宮崎県における貨物輸送の実態

ここでは、県内に立地する物流関係事業者(フェリー事業者、内航海運事業者、海貨業者、倉庫業者、計5社)および荷主企業(4社)に対するヒアリング調査結果、宮崎県における既存関連調査結果に基づき、宮崎県における海上輸送および陸上輸送の実態について整理する。

 

1]フェリー航路

1)京浜航路(宮崎・日向〜川崎)

・消席率は80%程度である(「海上定期便ガイド99年版」による)。トラックは上りの利用が相対的に多いが、下りは商品車(乗用車、トラック)の輸送があるので、これにより往復バランスは多少改善している。ただし、トレーラー(シャーシ)は下りは空荷で帰ってくるものも多い。

・上りの主要品目は、農産品(野菜)、畜産品(食肉・ブロイラー)であり、全体の約7割を占める。野菜は7〜10月が閑散期であり、季節変動が大きいのに対し、畜産品の波動は小さく最大10%程度である。また、これら一次産品は時間・温度の制約がある。

・工業製品では、化学工業品、タイヤ、紙製品、医薬品、自動車部品、木材などが中心である。これらを輸送する車両は往復のセットでフェリーを利用する場合が多い。

・下りの主要品目は、飼料(鹿島、銚子からのイワシ)、建設資材、その他雑貨が中心である。

・金曜日、日曜日の利用が少なく、月曜日の朝に間に合わせるため、土曜日が多い。

・フェリーの直接的なユーザーは、上り貨物の輸送を請け負ったトラック事業者が帰り荷として下り貨物も輸送する場合が多いため、主に九州側のトラック事業者である。

・実勢の運賃水準は、トラック事業者が荷主から受け取る運賃水準の下落による影響を受ける。

・なお、北部九州と京浜を結ぶ東京〜徳島〜北九州航路の場合、1997年度からデイリー化されており、輸送品目は下りが洗剤、ガラス、ビール、ポリ樹脂等、上りが化学工業品、製紙(徳島から)が中心であるため、季節変動が小さい。子会社もしくは提携会社がトラック事業を行い、実質的に複合一貫輸送を提供している。

 

2)阪神航路(宮崎〜大阪)

・旅客・貨物とも利用率が高い。現在の景気停滞下でも利用が増加している。品目的にも比較的バランスが取れている。

・その要因として、1]関東〜九州に比べて輸送需要のパイが大きい、2]ダイヤが利用しやすい、3]経済的にフェリー利用のメリットがある、といったことがあげられる。

・京浜航路は無人航送率が高いのに対し、阪神航路は無人航送率が低い要因としては、1]大阪でフェリーを下りた後、名古屋、北陸、長野方面までトラックで輸送する、2]中小トラック事業者のため相手港側での集配体制が整えられていない、等があげられる。

・実勢の運賃水準の下落幅も小さく、他航路と比較して安定している。

・なお、大阪〜志布志航路の場合、やはり下り便の消席率が低く、下り貨物は養殖魚の飼料(冷凍水産品)や畜産の飼料(フスマ、米ぬか)が過半を占める。ただし、荷主のメーカーから小売店への直送化により、新規需要も発生している。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION