1) 試験印加電圧の侵入経路は主にシールド線のシールド被覆である。
アクチュエータ出力/アナログ出力線はシールド線を使用しているが、試験印加電圧をEMIクランプを介して注入するため、主に芯線よりもシールド被覆から侵入して供試品に影響を及ぼす。
2) シールド線を使用した電線の場合はEMIフィルタよりもフェライトコアが有効である。
シールド線を使用した場合は印加電圧の侵入がシールド被覆よりも芯線の方が少ないと思われる。そのため、芯線を接続しているアクチュエータ出力端子及びアナログ出力端子にEMIフィルタを挿入しても効果は少ない。
フェライトコアは高周波電流を吸収するものであるため、シールド被覆から伝導された試験印加電圧を吸収して供試品への侵入を少なくするものである。
(4) 対策のまとめ
今回行なった試験から伝導無線周波数妨害イミュニティに対する基本的な対策をまとめると次のようになる。
1) アナログ回路で構成された供試品を試験する時、供試品からのアナログ信号出力を記録し、その記録から誤作動の有無を判断する場合は、測定機器への試験印加電圧の影響を十分に考慮し、予めダミー回路等を構成して予備試験を行ない、測定機器への影響が無いことを確認してから本試験を行なうことが必要である。
2) フェライトコアを電線に挿入する場合はフェアライトコアに電線を1回ループした状態(挿入方法B)がループさせないで挿入する(挿入方法A)よりも効果が大きい。
3) シールド線で構成された信号線に試験印加電圧を印加した時、影響を受けた場合はEMIフィルタで対策を行なうよりもフェライトコアを電線に挿入した方が効果が大きい。