その結果、IEC60945の要求基準である10V/mの電界強度において出力の変動値は最大でも-4mAとなり、基準内(*)に収めることができた。したがって性能基準Aを満足した。
(*)基準値
フルスケールの±3% アクチュエータ出力 : 160mA×0.03=4.8mA
アナログ出力 : 20mA×0.03=0.6mA
4) 対 策
試験結果からアクチュエータ出力及びアナログ出力の変動の原因対策及び結果はつぎのとおりである。
現象1 周波数150MHz〜200MHz付近でアクチュエータ出力及びアナログ出力が変動する。
原因 : 電源線から導体伝導により放射電磁界の影響を受けた。
対策 : 電源フィルタのグランドの強化を行なった。
結果 : アクチュエータ出力、アナログ出力共に改善され、これらの周波数における出力の変動は基準値の±3%以下になった。
現象2 周波数700MHz付近でアクチュエータ出力が変動する。
原因 : 供試品の端子台部分等の隙間から空間伝導により放射電磁界の影響を受けた。
対策 : 供試品を導電性布シートによってシールドする。
結果 : 周波数700MHz付近の変動は大きく改善され、すべての周波数において出力の変動は基準値の±3%以下になった。
5) 対策効果
以上のことから次の対策を施すことが効果的と思われる。
1]グランドの強化
周波数150MHz〜200MHz付近は電源フィルタのアースに使用している長さ10cmの電線から導体伝導によって影響を受けたものである。したがって導体伝導からの影響をなくすためには電源フィルタを本体に直接取り付け、グランドの強化をはかることが効果的と思われる。
2]供試品のシールドの強化
既存の端子台部分に開口部を設けたときに700MHz付近で出力の変動がみられた。これは空間伝導によって電磁波が供試品内部へ侵入したものである。したがって導電性のシート等で供試品とEMIフィルタを囲い隙間が無いようにシールドを強化する。また電源フィルタの二次側(本体側)の電線もシールドする必要がある。