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多数の機器にわたって、様々な組み合わせを網羅した複合試験は現実的ではないから、まず単体で規格を満足させ、さらに個々の装置毎の各種特性の測定数値から全体の状況を予測計算できる方向を目指すことを述べた。

今回の乗船調査で発見された「船橋に配置されている1台の機器からの予想外のレベル」は、この調査研究においても好適な研究対象事例と言える。EMCの測定室は厳しく定められた条件のもとに製作され、外部からは隔離されている環境で計測がなされている。しかし、船舶では限られた空間の中に多数の装置やケーブルそして電動機器類が配置される厳しい環境の中で、機器は作動しなければならない。船舶への装備後には、EMCの計測室とは著しく異なる環境で使用されることになり、装備後では測定結果の比較にも難しい問題を残す。

次年度は別の船舶での乗船調査を計画しており、平成11年度に調査を行った船舶の再調査を含めて、装備後の測定結果の比較や装備後の対策問題の検討を進める予定である。

(2) 今年度のイミュニティ試験実施内容との関わりを展開した船舶のEMC

今年度のイミュニティ試験は、

・伝導無線周波数妨害イミュニティ試験

・電源短期変動に対するイミュニティ試験

・電源故障イミュニティ試験

・サージ イミュニティ試験

である。これらの試験結果は本報告書の第10章で詳しくまとめられている。イミュニティ試験はこれらが順番に行われるのであるが、船舶の実際の環境では、妨害の発生源が同時に近い距離で起こることに有る。

従って、複合原因による妨害の発生とその対策が要求される。上述したように単体では合格していても、設置条件や隣り合わせた機器との競り合いでさらに大きく変る可能性もある。対策はコストと反比例するものであり、効果の高い対策手法が望まれるが一概にまとめられない難しい問題となっている。

(3) アンケート調査を参考とした考察

EMCの対策用品は、EMIフィルタ等の他にも多くのものが市販されている。例えばシールド状態が不満足と思われるケーブルに機器やケーブルの設置後に対症療法的に対策する部品も有る。隙間を塞ぐシールドテープ、ジッパーがついていてそのジッパーを閉じれば筒のようにシールドの筒カバーとなる対策部品も有る。いずれも限られたスペースとコストの中で妨害を対症療法的に最小限に抑えるものであり、基本的に設計段階での対策が望まれるところである。

 

 

 

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