CEマークはIEC60945の測定法により規格に合格した機器に与えられる。
本報告書資料2に述べられているように対象となる機器は船舶搭載の全ての種類に適用され、新造機器は2002年迄に、既存の機器は、2009年迄に段階的にIEC60945の規格に合格しないと欧州連合圏内への輸出が出来なくなる。
日本でもEMCのJIS化が進められている。まだ、基本規格と共通規格についてのJIS化が進められている段階であるが今後は製品群規格と製品規格EMCのJIS化が進められると考えられる。
わが国の海事関係者がEMC問題に関心を持ち、今後対処されるように望まれる。
6. 船舶におけるEMC
本中間報告書では昨年度、船舶におけるEMCとして次の内容で述べた。「船舶の環境条件とEMC」として、船舶という環境の特殊性を述べ、一般の工場などの環境と異なる問題を指摘した。また、「船舶の安全性向上のためのEMC」として、一般の工場と同様に大型の機械が作動し、人命が自然環境のもとに直接的な危険にさらされるので、高い信頼性が要求されることを述べた。
この調査研究は3カ年度にわたって実施される計画であり、今年度の中間報告では、次の3項目にわたって船舶におけるEMCを検討する。
・乗船調査を参考としたEMC
・今年度の試験実施内容との関わりを展開した船舶のEMC
・アンケート調査を参考とした考察
これらの調査を踏まえ、対策方法として機器本体に対策を講じるものと装備時に影響を妨害を受けあるいは出すような電線の配置や引き回しに注意させる点などEMI対策は機器の設計段階と装備時の注意事項など総合的に検討し、マニュアルとして整備できることが望ましい。
(1) 乗船調査を参考としたEMC
最近建造された船舶を対象に乗船調査を実施させて頂いた。その結果、船橋に配置されている1台の機器から予想外のレベルの電磁場が測定された。測定は簡便な機器で行われたので、周波数成分までは測定できなかった。
問題となった機器は、単体ではIEC60945を数値的には十分に合格しているとの回答があった。実際の装備されている環境の電源ケーブルや各種信号線の配線状況の調査を含め、大型の測定機器による詳細な調査を検討している。このような機器単独での試験では合格していても、装備後に規格を満足できないような場合が問題である。
つまり、複数の機器が狭い空間内に設置されるとき、しかもどのような機器が隣り合わせに取り付けられるかわからない状況が実際の装備状況である。個々の装置が単体では規格を満足していても複合した環境では規格を満足できなくなる現象が起こることが問題となる。このような問題の発生に関しては、昨年度の中間報告書で予想し、その対策を考えなければならないと述べた。