国際化が進めば進むほど、外国籍の住民が増えれば増えるほどに外国人との接触は多くなる。たとえ言葉は不自由であっても、外国人に対し一人の人間として人格を尊重し、その人権に配慮する。このような心構えを行政に携わるすべての職員が率先して持つよう努力しなければならない。
8. 異なる文化等の共存、共生
その第2は、異なる文化、異なる宗教、異なる価値観を徒らに排斥するのでなく、これを理解し、これと共存し得る資質・知性を備えることである。これを欠くと、たとえ外国語に優れていても、時に回復しがたいトラブル、コミュニケーションの断絶を招来する。世界にはいろいろの文化、宗教、価値観があり、それぞれが深い歴史に由来するものであり、いずれが優れいずれが劣るという性格のものではない。日本の文化、宗教、価値観を堅持し、これを堂々と主張することと、相手を己の文化、宗教、価値観に同化させようとすることとは、全く次元の異なる問題である。自分達の文化を主張するとともに相手の文化も尊重する。そうして相互の共存、共生を目指す。これが国際化時代における職員の在るべき姿であろう。報告書 第1の3)「職員に必要とされる資質・能力の育成向上」でみるとおり、この面での研修も既に多くの地方公共団体で取り上げられている。研修内容・対象職員の一層の充実を図るとともに、職員としては、単に当局の計画する研修に参加するだけでなく、進んで機会を求め、地域での文化交流、シンポジウム等各種の催し等があれば積極的に参加し、自己啓発にも努め、この面での資質の向上、知性の育成に自らも努力することを忘れてはならない。
外国人に対する人格・人権尊重。異なる文化・宗教・価値観に対する寛容さ。これらの資質を身につけて、その上に語学力を少しでも向上させる。これが国際化時代に生きる職員として、自らの資質・能力を育む要点である。