i. 同僚との助け合い――
仲間同士で助け合う方法として、過度のストレスや疲労の兆候を発見するため、事前にお互いの反応をモニタリングする合意をしておく。
iii. 模範例を示す――
特に監督者は、自らがきちんとした食事、休息、適度な休日をとるなどしてストレス対処法の例を示す重要な役割を担っている。「私に食事をとるよう注意してくれ。疲れているようだったら、ここを離れるよう言ってくれ。私は疲れるとよい仕事ができない」と、同僚に言えるチーム・リーダーは、職員の良い手本になる。
iv. 休息を取る許可――
危機状況では、多くの職員は自分の健康管理のために職務を休む許可を得る必要がある。人は、他人が自分を気に懸けていてくれると感じると、困難な状況でも良い状態を保てる。例えば、午後は休みにする許可を与えるなど、チーム・リーダーは自分と職員に特定の許可を与える責任がある。職員が緊急事態用の特別有給休暇を正しく利用することは、ストレス軽減に役立つ。
心傷を残すような「重大事件」への対処(心的外傷性ストレス)
20. ストレスのデフュージングおよびデブリーフィングは、危機後に職員の健康を守る方法である。重大事件を経験した人が、事実と自分の反応を中心に事件を語る。こうした会話は中立的な環境で行ない、事件現場では絶対に行なわない。また、訓練された専門家の指導のもとで行なう。以下の情報は、説明のため簡略化したもので、資格のない者がデフュージングやデブリーフィングを実施できるような詳細情報は含まれていない。
デフュージング
21. デフュージングは、心傷性災害に巻き込まれた人に何が起き、本人がどう反応したかを話させるプロセスである。事件後数時間以内に行ない、デブリーフィングよりも短時間で切り上げる。以下の3段階から構成される。
i. 導入
出席者の紹介、デフュージングの目的の説明、動機づけと参加の奨励
ii. 問題の探求
事件中に起きたことのディスカッション
iii. 情報
参加者に対して、事件に対して起こりうる反応、ストレス管理の手引き、現実に役立つ情報を教える。質疑応答。
秘密を厳守すること。話の内容がグループ内の秘密とされれば、強烈な感情を安心して表現できる。
22. 怒りの感情は、気が動転するような出来事に対する正常な反応であり、職員はこれによって「感情を発散させる」ことができる。仕事の結果を批判する時間ではなく、仕事の問題は、別のミーティングで扱う。
デブリーフィング
23. ストレス症状が重い場合はデフュージングでは不十分で、精神衛生の専門家による正式なデブリーフィングが必要になる。デブリーフィングは、心傷を残すような「重大事件」の衝撃を緩和するように作られている。グループ・ミーティングの形で行なわれ、事件に巻き込まれた者が安全かつ威嚇されない環境で、自分の思いや症状を語れるようにする。緊急事態チームのリーダーまたは責任者は、デブリーフィングを実施する精神衛生の専門家の派遣またはその選定を助けてくれるよう、本部の資源管理総局に要請する。セッションは、通常、重度のストレスを経験した職員を対象に開かれ、1)体験を融和させ、2)心的外傷性ストレス反応に関する情報を提供し、3)PTSDなど問題の長期化を予防し、4)職員の事件に対する自分の反応の管理を手助けすること、を目的としている。
24. 心的外傷を受けたもののデフュージングとデブリーフィングの場が設けられない場合は、要請すること。UNHCR職員を対象とした個人相談やストレス関連のワークショップに関する情報は、本部の職員福利課から入手できる。
主な参考文献
An Operations Manual for the Prevention of Traumatic Stress among Emergency Services and Disaster Workers, Jeffrey T. Mitchell and George Everly, Elliot City Maryland, 1995.
Coping with Stress in Crisis Situations, UNHCR, Geneva, 1992.
Humanitarian Action in Conflict Zones ― Coping with Stress, ICRC, Geneva, 1994.
International Handbook of Traumatic Stress Symptoms Edited by John P. Wilson & Berverley Raphael, 1993.
Managing Stress, Terry Looker, Olga Gregson, London, 1997.