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概要

状況

緊急事態では、人口過密や苛酷な環境や通常の衛生(sanitation)習慣の中断などの状況によって、難民の生命や福利が脅かされる。適切な衛生環境は、水と健康(health)を含めた衛生管理体制の重要な側面であり、緊急事態に多くの分野が協力して対応する上での基礎となる。

 

目的

病気のまん延を防ぎ、難民にとって安全な環境を整える。

 

対応の原則

?b 難民の協力が不可欠である。難民と共同で計画を作成し、できるだけ難民自身に運営させる。実施する措置は、難民が文化的に受け入れられるものとする。

?b 排泄物の処理については、基本的なシステムを迅速に提供する方が、より改善されたシステムを遅れて提供するより良い。

?b 用地選びと設計の段階で、衛生面のニーズを十分考慮する。

?b 地元の人的・物的・技術的資源を最大限に利用する。これには熟練、非熟練の作業員の難民からの採用、国家機関から得られる公衆衛生または衛生工学の専門技術・知識の利用、難民と地元住民の伝統的習慣の尊重、が含まれる。

?b なるべく簡素な資材や技術を選ぶ。

?b 衛生計画に、衛生施設とサービスの継続的なメンテナンス(運営・維持管理)を盛り込む。

?b トイレを清潔に使用・維持する最も確実な方法は、個人、あるいは家族単位のトイレの設置である。ゴミはコミュニティごとに処理する。

?b 化学薬品(特にネズミ、ハエ、その他の有害生物の駆除用)を使う時は、できるだけ場所や時間を限定する。むしろ環境の改善に重点を置く。

 

行動

?b 排泄場所を定め、給水の汚染を防ぐ。

?b 用地の基礎データを集めて、衛生施設を置けそうな場所の見当をつける。

?b 排泄物、ゴミ、廃水を処理する適切なシステムを開発する。蚊、ハエ、ノミ、シラミ、ナンキンムシ、ネズミ類その他の害虫など、公衆衛生に重大な影響を与える病原体媒介生物を駆除する。

?b 提供する施設とサービスの数を決める。最適な基準は以下の通り。排泄物処理(excretia disposal)/1世帯当たりトイレ1基。ゴミ/10世帯または50人あたり容量100リットルの容器1個。5000人あたり公衆衛生専門家1人、500人ごとに公衆衛生補助員1人。

?b 衛生チームを編成して、インフラの構築・維持管理にあたる。

?b 病原体媒介生物の駆除と死者の埋葬を組織的に行なう。

?b 総合的な健康監視システムと連携し、全ての環境保健サービスについてのモニタリングと報告システムを確立する。

?b 環境衛生を保健教育の必須要素にする。

 

 

 

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