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◆はじめに

 

1. 人間の生存には、食糧より水の欠乏ほうが影響が大きい。

水の供給は、難民緊急事態の初期から迅速な対応をする必要がある。必要量を効果的に供給できるだけの十分な量と、飲み水としての安全性を確保するのが目的である。

十分な貯水能力と、給水システムの全部分についてバックアップ体制を確保する。供給が中断されると悲惨な状況を招きかねない。

 

2. 利用できる水源が、湧水量または水質の点で明らかに不適切な場合は、別の水源を探す手配が必要である。難民の所在地まで、トラック、ボート、水道管などを使い、水を運搬することが必要な場合もある。既存の資源では最も基本的なニーズさえ満たせない場合、または新たな水源の開拓・開発に時間を要する場合は、難民をより適切な場所に移動させる。

 

3. 水質の評価は難しい。緊急事態の時に手に入る水は、すべて汚染されていると考えること。地表水域(湖、池、河川など)から取水している場合はなおさらである。難民が使う水源はすべて、衛生設備や他の汚染源から離す。多くの場合、原水を飲める状態にするには浄水処理が必要となる。水の安全性は、家庭で消費される時点まで確保されなければならない。

 

4. 難民キャンプの存続期間を予測するのは難しいので、費用効果の高い、長期的な計画立案が最も望ましい。

 

5. 緊急事態の給水システムを計画する際の考慮事項を図1(a, b)に示した。

 

6. 水、衛生設備、用地計画の各分野は、相互に深く関係している。関連章を併読すること。

 

◆評価と組織

 

◆ ニーズを考慮しつつ、ただちに実地での評価(assessment)を行なう必要がある。

◆ 専門的な技術・知識が必要とされ、地元の知識が最も重要となる。外部の専門知識は、明らかに必要な場合にのみ導入する。

◆ 難民を参加させ、その技能を利用し、システムを運営・メンテナンスできるよう教育訓練を行なう。

◆ 技術と設備は、簡単で信頼性があり、適切で、当該国でなじみのあるものを使う。

◆ 難民と地元住民が水資源(water resources)をめぐって争い、両者間に問題が生じる可能性がある。

◆ 利用可能な水源は、ただちに汚染から守らなければならない。

 

適切な環境・衛生対策によって給水システムを支える。ニーズを考慮しつつ、早急に地元の水資源の状況把握を行なう。

 

7. この状況把握には、政府の中央・地方当局をできるだけ関与させる。現場の地形や状況に関する知識は不可欠であり、外国の専門知識は明らかに必要な場合にのみ導入する。

 

 

 

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