補助給食計画
54. 上記の2種類の補助給食計画は、危険な状態にある集団に対して一定期間、一般配給のほかに食糧を供給するものである。これには家に持ち帰れる乾燥配給食と、その場で食べる調理済みの配給食の場合がある。
55. 個別補助給食計画は、中度の栄養失調者の回復を図るのが狙いである。対象者は子ども、成人、高齢者のほか、医学的・社会的理由で対象者となった人、例えば妊婦、授乳婦、病人などである。これは最も一般的な補助給食計画である。
56. 集団補助給食計画は、個人の栄養状態にかかわらず、特定の弱者集団の全員に食糧(ないし微量栄養素)を補充し、最も危険な状態にある集団(通常は、5歳未満児、妊婦、授乳婦)の栄養状態の悪化を防ぐ。
57. 補助給食計画は、調理済みの配給食または乾燥配給食のいずれかで実施される。
治療用給食計画(TFP = Therapeutic Feeding Programmes)
58. TFPの目的は、重度のタンパク質・エネルギー栄養障害(PEM = protein-energy malnutrition)の乳幼児や子どもの死亡を減らすことである。PEMの症状を付表3に示した。一般に、重度の栄養失調を患う5歳未満児が対象となる。治療用給食は、特別給食センターまたは病院か診療所で実施できる。TFPでは、医学的・栄養学的な集中治療を行なう。重度の栄養失調児には、治療用ミルク(TM = therapeutic milk)を与える。TMが手に入らない場合は、ビタミン・ミネラル補給剤を加えた高タンパクミルク(粉状の脂肪乳・油脂・砂糖)で代用する。
選択的給食計画の開始
59. 選択的給食計画の開始は、栄養失調の広がりや悪化要因に基づき判断する。悪化要因としては、高死亡率(1日1万人に1人を超える死亡率)、はしかの流行、伝染性下痢の大流行、最低エネルギー所要量を下回る一般配給などがある。栄養失調の拡大具合は、初期および定期的栄養評価や調査に基づき判断する。
どのような状況でも、選択的給食計画による対症療法より、栄養失調の根本原因に取り組む方が重要である。
60. 適切な一般配給が提供されないと、計画の効果は大きく損なわれるだろう。
61. 図3に、選択的給食計画の開始時期を決める際の目安を示した。計画終了の明確な基準は事前に決めておく。
対象者の特定
62. 選択的給食計画の基本は、危険な状態にあると思われる人々の積極的な発見・支援でなくてはならない。受益者は、以下の方法で発見する。
□ 各家庭を訪問して、対象者全員を確認する(5歳未満児、高齢者など)。
□ 子ども全員に集団検診を実施して、中度・重度の栄養失調児を見つける。
□ 到着時の健康診断(登録作業と一緒に行なうなどの方法がある)。
□ コミュニティ・サービスと保健サービスからの紹介。