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14. 物資配給の様々な段階で関係する主な活動主体の役割と責任を理解することが重要となる。食糧配給の場合は、配給の形態と報告事項がUNHCR、WFP、実施協力機関の三者間合意で定められている。食糧援助に関するUNHCRとWFPの役割は合意覚え書き(巻末の付録3)で定められている。食糧配給とWFPの役割の詳細については第15章を参照。

 

15. 配給の対象は、社会の基礎単位である家族である。これは食糧以外の物資を配給する場合も当てはまる。家族を対象した、また家族を介した援助提供は、配給システムの基礎として有効なだけでなく、家族への支援ともなる。しかしこれは、配給品を直接各世帯に手渡すという意味ではない。複数の家族からなるグループや、コミュニティ内の組織を通じた配給のほうが効果的な場合もある。

 

16. 配給職員に対する給料の現物支給は避ける。モニタリングを難しくするし、物資が不足している時は、現物支給のために弱者層への配給ができなくなる恐れがある。

 

17. キャンプでは、難民2万人につき1カ所以上の配給所設置をめざす。

 

18. 受益者1000人につき2人以上の配給職員を割り当てるよう計画する。

 

◆難民女性の役割

 

UNHCRの方針

19. 配給のあらゆる局面で、難民女性を最大限かつ適切に参加させるのがUNHCRの方針である。参加の形は難民の女性と男性両方と話し合い、女性と、その家族のニーズと責任分担を慎重に評価して決める。こうした事項を検討しないと、配給システム以外の分野でも悪影響が生じうる。

 

20. 大部分の難民コミュニティにおいて公正な配給という目標は、男女間の適切なバランスを取ることで最もうまく実現できる。しかし女性、特に配偶者のいない女性世帯主の意見は、十分に代弁されなかったり排除されがちだ。

 

女性の参加分野

21. 難民女性が参加できる3つの分野――

 

□ 意思決定のプロセスとモニタリング

□ 配給の実施(女性が配給の監督ないしは物資の配布をする)

□ 物資の入手(男性ではなく女性に配給する場合)

 

22. 女性は意思決定の過程やモニタリング活動に直接参加しなければいけない。これにはシステムの立案や、自分たちがシステムの運営へ参加する決定などが含まれる。物資配給や食糧の委員会のメンバーにもなるべきである。

 

23. 女性は、自分たちの代表として実際の配給作業に参加する者を選ぶべきである。参加の程度と形は、それぞれの状況によって決まる。

 

24. 女性が(世帯主であるか否かに関わらず)配給品の公平な分配を受け、配給後の用途を決められる一番効果的な方法が「家族向けの食糧や物資を自分が直接受け取るか、せめて配給の現場に立ち会うことだ」と女性自身が考えるなら、そのように取り計らう。

 

◆モニタリング

 

25. 配給システムのモニタリングは、UNHCRの重要な管理責任である。モニタリングの一般原則については、第8章で述べた。配給のモニタリングとしては、物資配給の実際のモニタリングや、キャンプで配給日に行なう抜き打ち検査などがある。

その詳細は、第15章とCommodity Distribution: A Practical Guide For Field Staff を参照のこと。

 

主な参考文献

Commodity Distribution: A Practical Guide For Field Staff, UNHCR, Geneva, 1997.

Memorandum of Understanding on the Joint Working Arrangements for Refugee, Returnee and Displaced Persons Feeding Operations,

UNHCR, Geneva, 1997.

Model Tripartite Agreement: UNHCR, WFP and the Implementing Partner, WFP/UNHCR, March 1998.

UNHCR Training Videos: Under Watchful Eyes, UNHCR, 1995 - Sorting it Out, UNHCR, 1993.

 

 

 

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