◆調整
はじめに
1. 調整とは、共通の目標をめざした、人々と組織の調和的かつ効果的な協力活動、と定義される。
2. 優れた調整がもたらすもの。
i. 利用可能な資源に対する最大効果。
ii. 援助活動の欠落や重複の解消。
iii. 適切な責任分担。
iv. すべての受益者に対する統一的な対応と保護・援助活動の基準。
3. 効果的な調整には、さまざまなレベルにおいて適切な取り組みと仕組みが必要となる。また、優れた管理・運営と、明確に定義された目標、任務、権限が必要とされる。
調整はタダではない。調整を機能させるには時間や資源というコストがかかる。
国連による難民緊急事態対応の調整
4. 国連システム内において、難民に対する責任はUNHCRにある。したがって難民緊急事態では、UNHCRが、国連全体の緊急事態対応を調整する責任機関となる。
難民緊急事態における調整の仕組み
5. 効果的な調整は、堅実な管理・運営の結果もたらされる。明確な目標と任務・権限の割り当てなしに作られた調整の仕組みは効果がない。調整は、特に現場との良好な情報交換に基づく必要がある。さもなければ逆効果になりうる。
6. 調整の仕組みとは、以下の事項を含む。
i. 世界的なレベル(地域、国レベルの場合もある)で任務と役割を定めた国際・地域条約および合意。
ii. 個別の事態ごとに任務と役割を定めた他機関との合意覚え書き(MOU)や交換書面、および実施協力機関と庇護国政府間の合意。
iii. 調整組織。
iv. 分野別委員会(必要に応じて)。
v. 定例会議。
vi. 報告と情報共有。
vii. 共同業務と共同施設。例えば車の修理サービス、通信、および共同の職員安全委員会など。
viii. 人道緊急事態で活動する組織の行動規程。
7. 難民緊急事態で、効果的な調整がなされていない場合、UNHCRは調整組織を設立するなど調整の指揮を取るべきである。
8.
どのような実施取り決めであろうと、事業の調整組織はひとつ(作業部会、委員会、事業本部などと呼ばれる)にする。
調整組織は、援助計画の実施を調整し、管理運営上の決定を行なう枠組み(framework)を定める。また、明確に定義され、幅広く公表された責任と権限を持つべきである。
9. 調整組織のメンバーと機能といった構成要素は、本章の付表1に示した。会議の調整など運営の心得は付表2に示した。
10. 調整の仕組み(メカニズム)がなければ、UNHCRは政府と連携し、調整の組織と仕組みの確立の先頭に立つべきである。これはUNHCRがリーダーシップを発揮すべき任務のなかでも非常に重要な部分である。政府はUNHCRの強力な支援のもと調整組織を設置し、政府とUNHCRが協同で、あるいはいずれかが調整組織の議長を務める。