日本財団 図書館


◆はじめに

 

1. 緊急援助は、1)難民にとって最も差し迫った問題やニーズの十分かつ迅速な把握と、2)こうしたニーズへの対応に利用可能な資源に基づいていなければならない。

 

2. 緊急事態の初期における問題分析とニーズ把握の目的は、緊急事態の全容を量・質の両面で明確かつ簡潔にUNHCRに知らせることである。従って問題分析とニーズ把握は、事態の進展を、少なくとも短期的に予測するに足る情報を提供すべきである。これを基に、将来の事業に影響しうる決定が下される。

 

3.

緊急事態が発展し、ニーズが変化するに従い、より詳細な状況把握、評価が行なわれる。この作業に終わりはない。

初期の、およびそれに続く状況把握は、事業計画立案と密接に関係しており、その基礎となる。また初期評価は、不測事態対応計画の立案において基本要素となる。

 

4. 初期の状況を把握するための作業は、以下の要素を含む。

 

□ 「主な問題点は何か」、「緊急事態かどうか」に答える。

□ 「UNHCRが緊急事態対応にかかわるべきか」、「関与するならどの程度か」を決定するための十分な情報を提供する。

□ 複数機関で合同に行なうものとするが、ひとつの機関が、全体的調整を行なうようにする。状況把握チームにはUNHCR、政府、協力が期待できるその他の組織(他の国連機関やNGOなど)の職員が参加する。理想としては、不測事態対応計画の立案にあたった複数機関から成るチームが、問題とニーズの簡単な状況把握を行なう。初期の状況を把握する者が、初期対応にも従事することが多い。状況把握チームには、なるべく緊急事態事業の現場における担当予定者を参加させること。

□ 迅速に実行する。

□ 一部の地域や分野に集中せず、緊急事態の全容を示す(完璧でなくても全体像が分かるほうがよい)。

□ 緊急事態の影響を受ける人々について記す(人口構成に関しての簡単な記述)。

□ 難民自身の対応能力を確認する。

□ 現地の利用可能な資源を確認する。

□ 急を要する最優先事項を確認する。

□ 数値測定が可能なニーズは、合意され適格な基準を用いて評価・査定する。

□ 最初から難民(男女とも)を参加させる。難民と知り合い、その関心事を理解する。彼らは重要な情報源(source of information)である。

□ 集めた情報の出所を記録する。

□ ひとつの手段に頼らず、様々な角度から情報をチェックする(例えば、航空調査は地上での視察や面接で確認する)。

□ 適切で入手可能な技術を投入する。

□ 分析が難しい詳細情報を過度に集めるより、標本調査やアンケートを使う。

□ 実施に必要な資源を示し、即時措置の勧告を作る。

□ 迅速かつ有効な対応を開始させる。

□ 結果を速やかに、かつ幅広く共有できるようにする。

 

5. 状況把握は、最低限、付表のチェックリストの質問に答える内容にする。チェックリストには緊急事態における事業を立案する上で必要不可欠な最低限の情報を得るための質問が列記してある。

 

6. 初期の状況把握では、保護、水、食糧、衛生、避難所、保健衛生など、生命を脅かす事項に重点を置く。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION