対応力と資源
5. 緊急事態管理・運営は、以下のように定義できる。
対応力(capacity) と資源(resources)を組織化し、難民の生命・福利に対する脅威に対処すること。
6. 難民緊急事態の準備と対応では、必要な時に必要な資源が利用できること、およびこれら資源を有効利用する能力が要求される。
7. 「対応力」とは内部の組織力を意味し、計画立案、人員配置、組織構造、制度、手続き、指針(ガイドライン)、情報の流れ、意思の疎通、意思決定、管理・運営側からの支援などが含まれる。「資源」には、財源、人的資源、救援物資、支援設備、手段、施設などが含まれる。
8. 対応力が弱いと、たとえ資源は十分にあっても、緊急事態対応は不十分となりがちである。
対応力が強ければ、限られた資源をより有効に活用でき、時には資源の不足を補える。
9. 緊急事態の管理・運営上、対応力が適切な重要度を与えられない場合がある。目に見える資源のほうが、計画立案と実施の両段階で重視される場合が多いからだ。しかし、緊急事態対応の良否を決めるのは対応力である。適切な対応力を備えた組織には必要な資源が集まり、信頼性の高い、有効な事業を実施できる可能性が高い。
10.
緊急事態を効果的に管理・運営するには、緊急事態対応事業の各段階を通じ、対応力の利用、対応力の開発の重要度を的確に判断しなければならない。
必要な対応力の多くは、あらかじめ備えているべきだが、実際の活動を通じて伸ばすことも可能である。
◆緊急事態管理・運営における主な任務
はじめに
11. 以下の管理・運営任務は、難民緊急事態全般を通じて不可欠である。
□ 指揮・統率
□ 計画立案
□ 組織化と調整
□ 監督
12. 11にある管理・運営業務はUNHCRという組織、およびUNHCR内のあらゆるレベルの個人にも求められる。
これらの業務が遂行されないと、緊急事態事業の管理・運営に重大な欠陥が生じるだろう。
これらの管理・運営業務は常に事業全体の責任を負う者の責務だが、他の職員に委任される時もある。
指揮・統率
13. 指揮・統率は以下のように定義できる。
緊急事態事業の構想を描き、これを伝え、極めて不確実で危険な状況下でも、行動の明確な方向性を示すこと。
14. 管理・運営の成功にはリーダーシップが必要である。事態にかかわる政府の役割にもよるが、リーダーシップはUNHCRが緊急事態で提供する最も重要な貢献かもしれない。一度下された決定は正しく実行されることが要求される。この規律は、検討事項を説明する時間がないことの多い緊急事態では不可欠である。事業に直接参加している関係者は、自分の職務に影響する決定にはなるべく参加すべきだが、最終責任はUNHCRの担当職員にある。