日本財団 図書館


6-3 JoyProjectの課題

 

ジョイプロジェクトは過去3年間の活動により、運輸省の車輌保安基準、警察庁の免許基準に新たな扉を開くことに成功した。

現在数名の仲間が、JOY-VANと同じタイプの車を個人的に購入しようと動いている。公的助成制度のない今、この種の車を購入しようとする人は、大金持ちか、金には換えられない重要な目標や課題を持っている人か、移動の自由を手に入れることで人生を豊かにしたいと考えている冒険家か、のいずれかであろう。それにしても彼らはパイオニアである。ただ単に高額なだけでなく、我が国においては未だにメンテナンスの技術も存在しないリスクの大きな商品なのであるから。パイオニアである彼らにエールを送ると共に、ジョイプロジェクトとしては最大限の協力を続けたいと考えている。パイオニア達の通過した後に道は拓かれるのが常なのだから。

これまで社会から取り残され続けてきた重度障害者にも、社会参加のチャンスを提供することは、先進国の仲間入りを果たした我が国において急務だと思う。

経済的に豊かでないほとんどの重度障害者が、日常の足としてこの種の車を手に入れられるような社会の実現に向けて、ジョイプロジェクトはさらに前進を続けなければならないと考えている。

JOY-VANはベース車輌がアメリカ車である。左ハンドルであることや、車輌が大きいことや、右サイドにリフトが降りることなど、日本の住宅事情、道路事情では使いにくい点が多い。全国キャラバンのおりにも、国産車輌をベースにした車の開発を多くの重度障害を持つ仲間から求められた。この点も今後の大きな課題として受け止めている。

ジョイプロジェクトは発足以来、『明るく楽しく、現実を変える』をモットーに前進を続けてきた。

現行療護施設の措置費は50人規模で年間2億数千万円である。一人あたり400数十万円かかる計算になる。収容している限り入居者が納税者になる確率はゼロである。入居者に生ある限り毎年確実に必要とする公的資金(税金)である。もちろん障害基礎年金は別途支給されている。一方で在宅障害者にはどれほどの公的資金が投入されているのだろうか。その格差たるやあまりにも大きすぎる。

在宅障害者に対し、もし基礎年金とは別に年間200万円の所得保障がなされれば、療護施設入居者の多くは『街』で生きる道を選択するに違いない。それでも公的資金は療護施設の半額以下ですむのである。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION