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(4)総括

 

車輌が陸揚げされて以降、1999年3月時点において、実に3年という時間が経過している。この時間の流れは、立場によっても感じ方は大きく違うであろうが、我々には、第2号車が誕生するに十分な時間であるとの認識があった。しかし残念ながら未だに第2号車は我が国にはない。

1998年11月、国際福祉機器展において三菱自動車が【電動車椅子のまま乗り込み、運転できる車】の試作車を発表した。

JoyProjectが社会に投じた一石は、各方面に確実に多くの動きを促した。しかしながら、規制に大きな扉が開いたとはいえ、現実の社会環境はそれに付随して改善されたわけではないので、手間暇係る状況は大幅に改善されたとは言い難い。まだまだ困難は大きく目の前に横たわっている。しかしながら全く前例のない事項と、1件でも事例の存在する事項とではその持つ意味はまるで違う。

国産車では未だに試作の域を出ていないし、販売のめども立っていない。これは、普及に向けて必要な条件が満たされていないことを表している。全国キャラバンでも、「ほしい!」との大きな声を聞き続けたが、一方で「高すぎて手が出ない」との声も又圧倒的多数を占めていた。

全国キャラバンで、数々の確実な手応えと同時に困難な条件も、実感として受け止めたジョイプロジェクトでは、経験値による推測の域を出ないこれらの要因を当事者及び関係者の生の声を集めることで、実体としての論理的裏付けとする必要から、10,000人アンケートを実施することになった。

JOY-VANに関するJoyProjectの活動は、普及を目指した事業である。あくまでも現実を変えることを目的とした活動団体であり、今回のアンケートも調査研究とともに、実体としてのニーズ、欲求、熱意、等を数値的に把握し、次なる活動へのステップアップに必要なエネルギーとすることがその主たる目的である。10,000人という圧倒的なニーズを証明することで、普及に向けてのパワーとしなければならないと考えた。

 

 

 

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