6-2 リエンジニアリングに対応した行政情報システムの再構築
行政情報ネットワークがユニバーサル・サービスのレベルまで普及しうる要件が整ったとしても、実際に情報弱者である住民までが行政情報サービスを利用できるようになるためには、情報機器の操作経験に乏しい住民も容易に操作できる「ユニバーサル・デザイン」の行政情報システムが必要となる。
5章では、新任職員や異動後の職員でも効率よく業務を行える方法として、また住民が複雑な手続きを容易に処理できる方法として「誰でも使えるインタフェース」を挙げているが、ここでは、さらにリエンジニアリングに対応した行政情報システム(アプリケーション)を実現する方策として「ユニバーサル・デザイン」の行政情報システムの必要性を提言することとする。
(1) ユニバーサル・デザインのインタフェース
ユニバーサル・デザインとは、若年でも高齢でも、障害があってもなくても利用できるように設計された商品・サービスである。企業や住民が利用する行政情報ネットワーク上のアプリケーションも、このようなインタフェースを持つことが必要である。
具体的には、高齢者や弱視の住民でも文字が読めるように文字の大きさを簡単に調整できる機能や、視覚障害を持つ住民のために、読み上げソフトに対応したテキスト表示モードも用意する等の対応が挙げられる。また、情報機器の操作に慣れていない住民でも容易に利用できるように操作性や画面レイアウト、画面のフローの構成等に関する配慮も必要である。しかし、逆に情報機器の操作を習熟している住民にとって無用に時間を要する冗長なインタフェースにならないような配慮も必要となる。
インタフェースだけでなく、手続き本体に関しても、オーストラリアの確定申告の事例に示したように、住民が画面に従って必要な事項を入力していくだけで申請書類が作成でき、ネットワーク伝送も行えるという操作性の優れたソフトウェアが提供されれば、情報機器に慣れていない住民でも家庭から手続きを行うことが可能となる。また、入力支援ソフトウェアをネットワークを介してダウンロードできるようにすれば、家庭や企業から、常に最新の申請方法・書式により、手続きを行うことが可能となる。行政機関における事務システムに関しても、ユニバーサル・デザインが実現されれば、高齢の職員でも情報機器の操作が容易になり、障害者の雇用も進みやすくなることが期待される。