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5-2 業務体系の改革上の課題について

 

1章で述べたように、リエンジニアリングとは業務を大幅に改善するような根本的な改革であり、具体例として、分業化されていた業務を情報システムを活用して統合するとともに、統合された業務を複数のラインで構成して互いに競争させたり、書類の受け渡しが行われている部署を一ヶ所に集めることにより、ほとんど書類の伝達に要していた業務処理時間を大幅に削減する事例が挙げられることが多い。

しかし国や地方公共団体では、法律や人事制度等、様々な制約により、民間企業の成功事例に見られるようなリエンジニアリングを行うことが難しい場合が多い。ここでは、それらの制約について、簡単な整理を行う。

 

(1) 制度による制約

行政手続きについては、必要となる書類やその書式まで法令で定められており、地方公共団体では国からのガイドラインにより制約されるものもある。このため、企業のように部署の判断で社会情勢や顧客のニーズの変化に合わせ手続きを変更する等の柔軟な対応が難しい。また申請を行う企業や住民にとっては、手続きの内容や提出書類の必要性を理解することが難しい部分もある。市町村においては、住民票の写しの交付等の申請書式が市町村毎に異なるため、市町村間における文書の相互発行等のワンストップサービスを行う場合にも支障となるケースもある。

 

(2) 人事による制約

行政機関の職員定数が法律により定められているため、職員数が増減するような大幅な業務システムの変更は難しい。職員を増やすことは現在の国や地方公共団体の収入の減少を考慮すれば極めて難しく、また職員を減らす場合についても、一旦、削減すれば、以後に復活させることはやはり困難となる。

また、国や地方公共団体では、数年ごとに職員の異動を行う場合が多く、職種によっては1〜2年毎に異動する。このような人事は、職員のゼネラリストとしての能力育成、業者との癒着防止等、メリットは多いが、人事異動の時期に全体的に業務効率が低下する可能性もある。リエンジニアリングにより業務の統合を図り、担当者の責任範囲が拡大すると、この影響はさらに拡大する可能性がある。

 

 

 

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