第3章
豪州におけるリエンジニアリングに対応した情報システムの現状調査
本章では、海外の先進事例として、豪州及び周辺国における行政情報システムのリエンジニアリングに関して調査を行った結果を示す。
3-1 豪州における行政情報システムとリエンジニアリングの現状
(1) 業務支援パッケージの導入
パッケージ・ソフトウェアは、
・特注でシステム開発する場合と比較して安価である。
・パッケージに含まれている多数のツールを、業務の特性に合わせて適用することにより、特注に匹敵するほどの効果が得られる。
・適用事例が多いパッケージについては、導入効果を想定しやすい。
・導入に要する時間やコストも少なくて済む。
等の点で行政情報システムの導入には欠かせないものである。オーストラリアの行政機関でも、総合業務アプリケーション(ERP:Enterprise Resource Planning)等のパッケージにより、行政業務プロセスの改善を図っている事例が見られる。
クィーンズランド州においては、財務管理にERPパッケージを導入することを決定し、公開入札しにより選定を行っている。その他の省庁でも、同じERPパッケージを導入することにより、総合的な財務管理業務の効率化が期待される。ただし、導入におけるカスタマイズや導入に合わせた業務コンサルティングへの委託等に関しては、各省庁の裁量に任されている。なお、クィーンズランド州では、情報システムの構築やパッケージにおいて、コンサルティング会社を活用することが通例となっており、長期的・総合的な契約、成果ベースの契約、業務分析/システム設計といった個別業務の委託契約まで、契約形態も多様である。
同州住宅省ではSAFARIというERPパッケージを導入している。当初は、財務管理及び資産管理等のバックオフィス業務に対する機能強化と機能連携を狙いとして導入し、その後、州民に向けたサービスについても対象を拡大している。
本システムによる主なシステム導入効果としては、以下の点が挙げられている。
・様々な形式の情報が簡単な操作で参照でき、グラフィカルな表示も可能。
・情報共有の仕組みにより、データの二重入力の排除やデータの整合性が向上。
・財務会計等の業務に関しては、従来のバッチ処理と比較してデータの変更の反映が著しく短縮。
・インターネットを利用することにより、建設業者や住宅メンテナンス業者との情報交換、請求処理等が可能。
・オンライン承認、発注業務等の自動化及びペーパーレス化が実現。
なお、海外には多数の優れた業務支援パッケージ・ソフトウェアが存在するが、言語インタフェースの関係でそのまま日本の行政機関で使用することは難しく、国内メーカによるOEMやカスタマイズ等が必要となるため、時間的な遅れやコストの増加が発生することとなる。