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(4) 導入効果及び今後の期待効果

テレビ面接審査は、テレビ画面を介して図面を指し示しながら説明を行ったり、模型やひな形を使って立体構造や動作を説明することができるなど、従来の通信手段である電話、ファックスでは実現できなかった複雑な技術的な説明を行うことが可能である。また、面接の立会人等が一同に会することなく面按審査を実現できる点で優れた特徴をもっている。

具体例としては、特許庁の審査官と東京の出願者の代理人(弁理士等)が、関西にいる企業の発明者及び知的財産権管理部署の担当が本システムを介して相談するケースが挙げられる。

利用効果については、利用者側からみれば、

1] 特許庁に出向くための時間と費用の削減

2] 特許出願業務の効率化

等があげられる。

また、特許庁側からみれば、

1] 時間・距離の差をなくすことによる、地域に対する公平なサービスの提供

2] 地方の出願人の面接方法選択の幅を広げることによるサービス向上

等が挙げられる。

 

(5) 考案

1] 情報システムを活用した業務改革の推進要因

特許庁では、従前から特許関連情報の電子化(ペーパーレスシステムの開発)を行うとともに、平成9年12月から「特許庁親切運動」としてテレビ会議システムの活用を含む23項目の活動を実施している。また、平成10年7月からは、インターネット上で無償で商標出願・登録情報提供サービスを開始している。これは、平成9年11月の三極(日米欧)特許庁長官会合で検討及び準備を行うことで合意していた三極ウェッブサイト(インターネット上での英文特許情報の無料提供)の実現に向け、先行的に実施したものである。

特許庁において、このような改善施策が積極的に推進されている理由としては、特許庁が常に米国特許商標庁及び欧州特許庁と比較される状況にあることが挙げられる。すなわち、一般に省庁や地方自治体に対して行う申請・届出等の手続きに関しては、国内で完結するものがほとんどであるが、特許出願に関しては、国内の発明者が欧米の特許庁に届け出るケースも多いため、自然に日米欧での受付業務や情報サービスが比較評価され、具体的なユーザの意見として現れやすい。これが、特許庁におけるサービス改善を推進する要因となっていると考えられる。

日米欧の特許庁(三極特許庁)は、それぞれの国の発明者が三極共通の顧客となりうることから、情報交換やサービス向上を共同推進する協力相手となりうるが、国内での特許出願手続きに手間と時間がかかりすぎる場合、発明者が海外で特許を取得し優先権を主張することもある等、競争相手ともなりうる。本事例を見る限り、企業間における競争がリエンジニアリングを成功要因となるという説は、行政機関においても当てはまると考えられる。特に特許庁においては、欧米特許庁という競争相手の存在が業務改革を積極的に推進する動機付けとなるだけでなく、それぞれ先進的ノウハウを有する三極特許庁の相互協力により、業務改革の方向性が的確に定められるというメリットもある。

このような明確な競争相手が存在しない行政機関については、どのように積極的な業務改革の動機付けを行い、また的確に方向性を定めるかが課題となると考えられる。

 

 

 

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