このように、企業がリエンジニアリングを行わざるを得ない環境を作り出す「3つのCの力」に関しては、「顧客」及び「変化」については国や地方公共団体における行政サービスにも該当し、その結果として、情報公開に向けた文書の電子化、インターネットでの情報公開、行政手続きの電子化、総合行政ネットワークや住民基本台帳ネットワークシステムといった施策等が推進されているとも考えられる。しかし、「競争」に関しては国や地方公共団体には該当しにくく、この結果、他の省庁や地方公共団体と比較して劣っていなければ良しとする「横並び」的な考え方が発生し、リエンジニアリングが推進されにくくなっていると想定される。
(2) 行政情報システムとリエンジニアリング
ここでは、1-2において整理を行ったリエンジニアリングにおいて情報システムが果たす役割(下記1]〜4])について、行政機関の状況と照らし合わせ、分析を行うこととする。
1] 意志決定支援への活用
2] 情報共有・伝達支援への活用
3] 業務システムの構築
4] 情報システムの再構築
なお、行政機関において上記のパターンによる情報システム活用事例が見られたとしても、それによりリエンジニアリングまで可能と判定することは難しいが、少なくとも行政機関でリエンジニアリングを行う場合に、情報システム上の問題が発生する可能性は低くなると想定される。
1] 意志決定支援への活用
国や地方公共団体のように、目途の決まった単年度予算の中で事業を行う場合には、企業のように年度の中でも適宜、顧客ニーズを把握し、事業に反映させることは容易ではないが、住民の意見を集約して次年度の施策立案に活用することは重要である。前述のように、国や地方公共団体のサービスに関しては、そのほとんどが住民にとって選択が不可能であるため、サービスの低下により利用が減少することは考えにくく、住民の不満が見えにくい。したがって、住民の意見を的確に把握するために、住民が気軽に意見を出せる仕組みを用意することが必要である。現在、インターネット上でWebページを構築している国や地方公共団体では、電子メールで施策に対する意見の受け付けを行っている例が多いが、中には伝言板機能を利用して本人の特定が難しい方法で受け付けている事例もある。