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このように、住民と行政機関の関係は、少なくとも行政情報に関しては、以前と比較して住民側がより権利を主張する(主導権を握る)立場になっていると判断される。また、インターネットの地方公共団体のWebページを参照することにより、住民が居住する地方公共団体と他の地方公共団体の行政サービスの格差を確認することも可能となっているケースも多い。これもまた、住民が比較対照となる情報を容易に入手可能となることにより、主導権を持ちうる要因となっている。

このように、「顧客が主導権」を持つというリエンジニアリングを行わざるを得ない環境については、国や地方公共団体にも該当すると考えられる。

 

2] 競争の激化

競争については、国や地方公共団体の事業に関しては、ごく一部では民間サービスとの競合もあるが、ほとんどの競争は省庁間や地方公共団体の部局内での予算の確保、地方公共団体間での国の補助金の確保等、顧客である住民への行政サービスの向上に関するものは少ない。

現状としては、住民が省庁や地方公共団体に行政手続きに赴き、民間のサービスや以前居住していた地域のサービス等と比較して不満を感じても、他の省庁や地方公共団体でその行政手続きを受けつけてもらえるわけではなく、結局は我慢するか個人的に苦情を伝えるしかない。すなわち、民間企業においては、サービスに対する顧客の「評価」とその評価結果に基づいた「選択」により、競争相手に顧客が乗り換える可能性があるため、常にそれに対抗しなければいけないという意識がリエンジニアリングを推進させる動機となりうるが、国や地方公共団体においては、行政サービスに対する住民の「評価」は存在しても、評価結果に基づいた「選択」が国外や他の市町村への転居等、ほとんど取り得ないものであるため、リエンジニアリング等の手段で改善するという環境を生み出しにくいと考えられる。

 

3] 絶え間ない変化

我が国の行政に係る変化については、景気の低迷、高齢化・少子化、環境問題、エネルギー問題等の社会的な変化や、省庁統廃合や市町村の合併、地方公共団体への権限委譲等の行政サービス主体の組織的変化、情報公開や個人情報保護、情報機器やインターネットの一層の普及等の情報化に関する絶え間ない変化が起こっている。今後も、景気の動向は先が見えず、高齢化・少子化や環境問題、エネルギー問題は本格化することが予想される。これらの変化は、その影響が直接、行政サービスに及ぶため(景気の低迷による税収の低下、高齢化・少子化による年金問題等)、行政機関としても「絶え間ない変化」への対応を迫られている。

 

 

 

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