(3)日本における取組み
日本では、1993年のロスアンゼルス地震の際に、米国危機管理庁(Federal Emergent Management Agency、FEMA)がGISを活用して成果を上げていたことに注目していたこともあって、日本における国土空間データ基盤の整備の必要性が強まっていた。そこに、1995年の阪神・淡路大震災が起こったことが直接の契機となり、国土空間データ基盤整備の関心が急速に高まっていった。
1] 地理情報システム(GIS)関係省庁連絡会議
国土空間データ基盤の整備・推進を目指し、1995年9月、内閣内政審議室に18省庁の課長級による「地理情報システム関係省庁連絡会議」が国土庁、国土地理院を事務局に設置され、翌1996年6月「中間とりまとめ」が発表された。同年10月連絡会議を21省庁(現在は22省庁)の局長級に格上げし、12月に「国土空間データ基盤の整備およびGISの普及の促進に関する長期計画」が発表され、平成8年度から概ね3年間を基盤形成期と捉え、期間内に取り組むべき標準化等の諸課題についての検討がなされた。さらに1998年3月に発表された「「長期計画」の推進状況に関する中間とりまとめ」において、国土空間データ基盤の管理流通体制や、標準化の検討、制度的課題など、これまでの取組状況や今後の課題について作業部会報告として取りまとめている。
2] 国土空間データ基盤推進協議会
国土空間データ基盤推進協議会(NSDIPA)は、国土空間データ基盤の整備を政府、自治体、各機関に求める活動を行うと同時に、国土空間データ基盤情報の活用方策の提案および新たな空間データ利用産業の振興を図っている。NSDIPAは任意の民間団体であり、ソフトウェア業界、ハードウェア業界、建設コンサルタント業界、シンクタンク業界、測量業界、ライフライン関連企業、商社などが会員となっている。調査委員会、広報委員会、技術情報委員会、海外情報委員会の各委員会が設置されており、国内外のGISの最先端情報の収集や技術セミナー等の啓蒙活動、技術レポートや報告書の作成、および標準化団体のOGC(後述)との交流など、その活動範囲は広範にわたっている。