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(3) 多目的ICカードシステムの管理・運用の関わる課題

 

1] ICカードライフサイクルに沿った運用

 

多目的ICカードの発行業務から回収業務にいたるライフサイクルの中で起こりうる事態について、通常の運用あるいは例外措置等につき考慮する必要がある。

たとえば、紛失、盗難、パスワードの忘却、ICカードの故障等発行されたICカードが使用不能になった場合の処理、あるいは再発行について、カード発行者、カード利用者、サービス提供者が行うべき処理と情報の伝達等を含めた運用手順を定めておく必要がある。

また、カード利用者がカード発行者の利用条件を満たさないことによるICカードの回収についても運用手順を定めなければならない。

 

2] サービス提供者増加への対応

 

多目的ICカードシステムにおいては、システム構築当時想定していなかったような業務サービスを新たに展開しようとする場合が今後増加する可能性がある。したがって、こうした新規にサービス提供業者が出現した場合の対応について、その運用方法を定めておく必要がある。つまり、ICカード発行者として{あらゆる新規業務サービスを認めるのか、あるいは業務サービスの種別や運用方法に何らかの条件を設けるのかなどである。また、業務サービス提供者の関係機関やサービス提供窓口が急増することにより、ICカードの事故に対する対応、再発行業務等当初の運用が可能かについて検討する必要がある。さらに、ICカード自身において、新たな業務サービスに対応できる十分なメモリ領域が備わっているかについても常にチェックしておく必要がある。

 

3] その他必要とされる課題への対応

 

多目的ICカードの発行者が今後増加することが予測されるが、この場合のサービス提供や業務サービスを実施する上での許可条件や運用方法を定めておく必要がある。また、ICカードの発行においては、カード利用者の個人情報が登録されるだけに個人情報の保護については十分配慮する必要がある。

地域行政における多目的ICカードの利用については、既存の住民基本台帳システムに追加・変更等が生じた場合の対応について検討を行う必要がある。また、住民が多目的ICカードを利用して証明書の発行を受けたりする場合の、通常の運用方法、事故が生じた場合の制度上の例外措置等についても検討する必要がある。

こうした地方自治体等地域における多目的ICカードの導入については、その普及・啓発について十分な対応を図らなければならないが、一方ではその地域における総合的な情報化政策における連携あるいは調整等についても検討する必要がある。

 

 

 

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