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(2) 銀行カード協会発行のデビットカードがすべてICカードに(フランス)

 

フランス銀行カード協会(Groupment Des Cartes Bancaires)、通称CBグループは私的な非営利団体で、1984年に250以上の銀行、信用金庫、郵便局などの金融機関により銀行カードによる共通支払システムを推進するために結成された。同グループでは各種カードを取り扱っているがそのほとんどが支払いのためのデビッドカードである。このデビットカードをICカード化すべく、1970年代後半から開発をはじめ、1992年をもって全国展開(全数ICカード化)を完了している。

このICカードはカルトブルー(Carte Bleue)と呼ばれ、ATMでの現金引き出しと支払い処理ができる。ATMで使用する際は磁気ストライブ情報が利用されるだけで、ICカードとしての本来の機能は支払い(デビット支払い)でしか活用されない。しかし、一枚のカードでことがすむという点で顧客にとって利便性が高いといえる。

カルトブルーは申込み時に次の点で好きなタイプを選択できる。

 

1] 引き落とし方法

 

(a) 即時引き落とし(リアルタイム・デビット)

(b) 後日引き落とし(ディファード・デビット、またはポスト・デビット)〈猶予期間も月末までの範囲で選択〉

 

2] クレジット機能との併用の有無

 

(a) 単独利用のナショナルカード

(b) VISAカードとの提携

(c) ユーロカード/マスターカードとの提携

 

現金引き出しに関しては国内のATM2万4,500台がすべてカルトブルーを受容でき、平均引き出し金額は400フランスフラン(約80ドル)である。また、支払いでは現在43万店の小売業者が60万台のPOS端末で業務処理をしている。

ICカード化がもたらしたメリットは次のとおりである。

1] 不正利用、特に偽造カードによる被害の削減

2] カード決済がより広く普及することで、増大の一途にあった個人小切手の取り扱い

3] コストの大幅削減

 

図表4-5のようにフランスでのデビットカード不正使用率は激減しており、コスト面でもカルトブルーの配布枚数の年々増加とカード決済の急速な普及により効果が現れているといえる。

 

 

 

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