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4-2 教育

 

(1) ミシガン大学の大学カードの多機能化(アメリカ)

 

ミシガン大学では大学カード(Mcard)として多機能型ICチップを搭載したICカードを1995年から実用化した。全面導入が済めば学生、職員併せて10万枚を超えるカード規模となる。

このカードは次の機能を持っている。

 

1] カード所有者の本人情報(氏名、ID番号、社会保障番号など)

2] 長距離電話カード

3] 電子財布(キャッシュチップ(CashChip)とバンクストライプ(BankStripe)の2種類の引落機能)

4] 同大学のあるアンナーバー市内85の小売業者への支払い

 

学内に止まらず、学外での利用も可能で、利便性が高い。次に、上記のカード機能の内、電子財布機能について見てみる。

キャッシュチップ機能は大学内に設置されている19ヶ所のターミナルでIDナンバーを使って金銭価値を充填し、買い物を行う毎に対価が引き落とされるという仕組みである。金銭の充填は銀行のATMで行う。但し、当機能での充填可能額は50ドルを上限とし、小額の買い物専用である。自動販売機、コピー、ファーストフード店での利用が主なものとなる。一方、バンクストライプ機能は当カードの全金融決済業務を請け負っているファースト・オブ・アメリカ(First of America)銀行の当座預金口座を通じての支払いができ、買い物をした時点で口座から直接引き落とされるPOSシステムを採用している。Mcardによる支払いを受け付けるアンナーバー市内の小売業者はすべてファースト・オブ・アメリカ銀行のPOSネットワークに加盟している。

ICカード化のメリットとしてa)大学、b)学生、c)民間企業それぞれに次のものが挙げられる。

 

1] 大学

 

(a) 学内のサービス機能毎に12枚もの磁気カードが存在したが、それを1枚に統合できて煩雑さが無くなった

(b) 処理が迅速で耐性やセキュリティも強化された(従来のカードと比べると)

(c) 提携銀行、小売業者、AT&T社(電話会社)等から手数料などの収益が得られた

 

 

 

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