3-2-2 ICカードの相互運用性
多目的ICカードの導入が、今後、多くの分野で展開していくものと予測されるが、この場合、既存のカードと関係なく普及するものとは考えられない。特に、今後は非接触型ICカードがICカードの主流となると考えられるだけに、既存の磁気カードシステムや接触型のカードシステムといかに協調するかが重要となる。つまり、異なった複数のカードを搭載した複合機能カードの作成や、複数のサプライヤーからカードやリーダ・ライターを調達する場合の互換性について検討を行う必要がある。
(1) 複合機能カード
我が国では、現在、カードシステムとしては圧倒的に磁気カードの利用が多い。したがって、既存のシステムから多目的ICカードヘの移行を目的とした複合機能カードとしては、主として磁気ストライブとの併用が重要となる。
この場合、非接触型ICカードとしての動作によって磁気ストライブ上の情報に影響が出てはならない。通常、磁気情報の破壊は、ICカード用のリーダ・ライタによって引き起こされる可能性が強い。リーダ・ライタからICカードに電力を供給し、データの受発進を行うためにリーダ・ライタ側の結合コイル/アンテナに流す電流によって磁界が発生する。この磁界にカードが置かれた場合、磁界の強さが磁気ストライブの抗磁力より強くなると磁気情報が破壊される。磁気ストライブの抗磁力については、JISで規格されているが、非接触型ICカードの内、特に密着型の場合においてリーダ・ライタとカードとの距離が短いだけに最も強い磁界を発生することに留意する必要がある。
現在使用されている磁気カードには、エンボス加工が施されているが、これは単にカードの見栄えを良くする目的だけでなく、使用されたカードを特定する根拠となりうる。したがって、複合機能カードにもエンボス加工を施す必要があるが、この場合、以下の項目について留意する必要がある。