炭化水素油:Hydrocarbon Oil
現代社会産業を形成する基幹的な物質である。石油(原油:Crude Oil)の組成である炭素と水素からなる液状を示す化合物の総称。石油はLPG(プロパン、ブタンなど)からアスファルトまで数多くの化合物の混合物である。エネルギー原料、化学原料としての炭化水素油は、原油を蒸留という操作で留分に分け、必要に応じて2次加工(脱硫など)され製品となる。
潮間帯:lntertidal Zone
最大大潮のときの高潮線と低潮線に挟まれた海岸の地帯をいう。また年平均の高潮線と低潮線の間の地帯を指すこともある。後者の場合は、より安定した生物相が見られる。
チョコレートムース/ムース:(Chocolate Mousse/Mousse)
原油や重油が海上に流出した時できる強固なチョコレート色をしたO/W型エマルジョンのこと。ムースとは泡立てたクリームという意味で本来は製菓用語である。ムースができるまでには若干の時間がかかるのでムースになる前に処理することが望まれる。ムースの中の油は、たかだか20%程度。流出した油はムースになることで3〜4倍に容量が増え、しかも分離することが困難になるので早い対処が必要である。油を分離するには加熱するか、解乳化剤(Demulsibier)を使用する。
デブリ:Debris
本来は、岩のくずという意味であるが、油濁用語では、この他、海上を浮遊している木のくずなども加えられる。
二次汚染:Secondary Pollution
汚染の直接の原因(油濁事故の場合は油)に対処するために用いる手段により引き起こされる汚染をいう。例えば、油濁事故に際して浅海で処理剤を使用し、その海域でのCOD、BODが非常に高くなるなどの汚染。また、有害物質を体内に摂取した生物の食物連鎖(プランクトンをエビが食べて、エビを大きな魚が食べるなどのプロセス)による有害物質の蓄積、分散も広義の二次汚染といえる。
バイオオーグメンテーション:Bioaugmentation
その地域の存在しない微生物を人為的に撒布あるいは投入することにより効率良く、汚染物質(油など)を分解、無害化する生物学的環境修復手法をいう。新たに投入する微生物は汚染物質を分解する能力は、優れているものが選ばれるが、投入する地域の生態系にどのような影響を与えるかを十分に検討しておく必要がある。遺伝子工学による微生物の利用が将来考えられるが、遺伝子操作がなされた微生物を使用する場合には、さらに、入念な検討を必要とすることが考えられる。
バイオスティミュレーション(微生物励起・活性化):Biostimulation
土壌中に自然に存在する微生物に、その活動が十分に発揮できるように栄養分(チッソ、リン、ミネラルなど)と空気、水などを与えるバイオレメディエーションの方法をいう。その土地に住み着いている微生物の働きを引き出してやる方法なので、他の種類の微生物を投入するバイオオーグメンテーションよりは、生態系に及ぼす影響は少ないと考えられる。しかし、栄養分などを撒布するので水質の富栄養化の問題などには細心の注意が必要である。
バイオベンディング(生物通気):Bioventing
パイルなどで地中に貫入した穴(井戸など)を用い、減圧ポンプによる吸気、圧縮機による圧入により、影響を及ぼす地域の酸素濃度を高め、微生物の活動を大きくしてやる方法。エアスパージングはこの手法の一例。
バイオレメディエーション(生物学的環境修復(及びその手法)、微生物浄化):Bioremediation/Biological Remediation
広義には生物の働きを利用して汚染前の環境に修復することをいう。狭義には微生物の活動を制御して汚染前の環境を取り戻すこと及びそのための手法をいう。いろいろな種類の手法がある。
培地:Medium
細菌の発育に必要な栄養分を含んだ液(液体培地)、あるいはこの液を固化したもの(固体培地)を培養基とか培地という。試料を長時間保存する必要がある場合、遠隔地へ送る場合は、試料中の細菌が死滅しないように工夫された保存・輸送培地・細菌の増殖を主目的とした増殖培地、細菌の分離を目的とした分離培地、分離された細菌の鑑別(固定)を行うための鑑別培地がある。培地の基本的な成分は精製された寒天と栄養分、ミネラル、ビタミン等である。