2] このため、今後とも、これら調査・研究を推進して、その技術的有効性や環境への影響などを明らかにするとともに、実際の使用に当っては地元漁業協同組合及び自治体等の理解と協力を得ていく必要がある。
更に1997年3月に「日米コモンアジェンダ」で生物学的環境修復手段を含む海洋汚染環境修復に関する技術共有を確認しています。
いずれにしても、更なる具体的な方向づけ、タイムスケジュールの公表が望まれます。
3. 研究活動
1960年代後半より、石油分解菌に関する報告は散見されておりますが、「生物学的環境修復」という概念に基づき研究が計画的に進められてきたのは1980年代後半であり、そして世の注目を浴び始めたのは1989年のエクソン・バルディーズ号事故以降のことと言えます。
米国のNOAA(National Oceanic and Atmospheric Administration)のチームによる主としてバイオスティミュレーション(微生物活性化法)の研究が有名です。
更に英国では、1996年のシー・エムプレス号事故後のNETC(National Emviromental Technology Center)の現場型微生物浄化の研究が優れたものとして、評価されています。
この他、米国では大学、民間の研究室での多くの研究、更には“技術”の製品化が進められています。
一方、我国では1997年のナホトカ号事故以来、国、地方自治体、大学の研究機関での研究が進められています。しかし規模、総合性の見地からは、欧米と比較してまだ充分なものとは言えないのが現実です。
この「生物学的環境修復」という分野の技術の確立には、国家レベルでの具体的な指針と、各方面からの適切な資金援助が必要なものと思います。速効性の乏しい、しかし確実に成果が期待できる事柄の研究には、かなり長期間の支援は不可欠なものと考えられます。