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注目すべきものとしては、1997年3月に、環境庁水質保全局が作成した「油処理剤及びバイオレメディエーション(生物学的環境修復手法)技術の検討調査報告書」における生物学的環境修復手法適用可能性の検討で、次のように6段階の検討を行って実施の可能性を検討する試案を示しています。これは、今後のガイドライン作成のたたき台という意味と考えられます。

この6段階は次のような留意点から構成されています。

留意点1: 適用場所の想定

油汚染地域の中からバイオレメディエーションの適用場所を想定

留意点2: 汚染状況調査

想定適用場所の油汚染の状況、自然条件等を把握

留意点3: 散布剤の安全評価

散布剤が人の健康や生態系に有害な成分を含まないことを確認

留意点4: バイオレメディエーション使用適否の検討と適用技術の選択

想定場所でのバイオレメディエーションの適否の検討と現場にあった技術の選定

留意点5: 現場の汚染油を用いた室内実験

散布剤が現場で有効性を発揮する及び環境保全上支障がないことの確認

留意点6: 現場における小規模野外実験場

対照実験を含む小規模区画実験を行い、有効性及び安全性を確認

検討についての時間的な目標があれば更に有意義なものと思われます。

なお、平成10年度からは環境庁において、バイオレメディエーションに関する委員会が設置され、検討が開始されています。

また、水産庁と環境庁は、1997年2月6日の「ナホトカ号油流出事故の流出漁及び漂着油に対する処理剤等の利用について」という文書の中で、バイオ技術の利用について以下のように述べています。

1] バイオ技術などの活用としては、例えば、石油を分解する微生物を活性化させる栄養剤を使用する方法や栄養剤とともに微生物を撒布する方法がある。現場の状況によっては、その有効性が異なり、また、使用法によっては、栄養剤が窒素、燐酸を含むものであることから、海水の富栄養化が生ずる可能性や微生物の撒布による海洋生態系に与える影響の可能性も考慮する必要がある。

 

 

 

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