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もう1つ重要なことは、もし害が出た場合にはどう対処するのかということです。自然に存在する細菌の場合には、その細菌の最適環境(Optimal Conditions)を外してやれば、発育が止まることはわかっています。作り上げられたものについては、どうでしょうか?これらも適用に先立ち、充分チェックしておく必要があるでしょう。

以上を総合して考えると、現時点では次のようにまとめることができると思われます。

(安全性の面)

その土地の細菌利用>他の土地の細菌利用>作った細菌の利用

(有効性の面)

作った細菌の利用>他の土地の細菌利用>その土地の細菌利用

しかし技術の進歩によっては、この順位は変わることもあり得るでしょう。

今までは油濁防除の一環としての微生物浄化に絞って述べましたが、実は微生物浄化(バイオレメディエイション)は油以外の方が多く、実際に用いられています。

例えば地中に染み込んだPCB(Poly Chloro Bengyl)とかダイオキシン(Dioxines)やトリクロロエチレン(Trichloro Ethylen)のような毒物を、無機塩化物と水、二酸化炭素に分解する実験や、有害な有機重金属化合物を無機重金属化合物と水、二酸化炭素に分解する試み等があります。

油にしろ有機物にしろ、微生物を用いて浄化する特長、あるいは魅力は1つは自然の景観をあまり損なうことなく行えるという点です。

また微生物浄化に要する費用については、用いられる手法によって異なるため、一概には言えませんが、一時的に投入される資機材の費用は比較的安価と言えるでしょう。しかし浄化に時間がかかりますので、浄化過程をチェックするための人件費、施設については十分に検討する必要があります。

 

 

 

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