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§3. 微生物についての基礎知識

 

1. 微生物

 

顕微鏡でしか見えない生物を微生物(Micro-Organism、Microbe)といいます。しかし、通常は線虫やワムシ等は除かれます。

私達によく知られている微生物は恐ろしい病原性細菌と食品に欠くことのできない酵母、ペニシリン等の抗生物質を生産する青カビや放線菌くらいのものです。しかし、これらは微生物全体からみるとほんの一握りのなかの更に一握りにしか過ぎません。微生物を語るとき忘れてならないことは、地表、水中に存在する信じられない数、量の「お掃除」細菌(Bacterium/Bacteria)です。動植物の老廃物、死骸を分解して、水、炭酸ガスその他無害な物質にしてくれているため、地球上は清潔に保たれているのです。ある学者の計算によると微生物の主役といえる細菌の総個数は5×1030程度でその炭素量は5,000億トンにもなるといわれます。人間の総個数60億(6×1010)と比べると、肉眼では見えないが想像を絶する数だということがわかります。

 

2. 微生物の種類と分類

 

信じられない数の微生物ですからその分類もいろいろな人(学者)がいろいろな分類を行っています。最もわかりやすい分類の1例を図3-1に示しました。通常、微生物は自律的な代謝を行うもの(自分で自分自身の体を健全に維持し、増殖できるもの)と考えられていますので、ウイルス(Virus)は微生物には加えません。ウイルスは宿主(Host)の体内の特別な場所のみで増殖できるのです。

 

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図3-1 微生物の分類

 

 

 

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