4]は物理的回収につぎ多く適用される方法です。しかし適用に当っては多くの制約があります。閉水域や沿岸の浅い水域での使用は、生態系への影響のため、使用ができないことになっています。しかし浅い水域とはいっても海水浴場とか、“泣き砂”の海浜を油濁から守るためには、総合的に利害得失を考え、使用することも選択肢の1つにはなります。
5]は最も労働集約的な方法です。人力、バキュームクリーナー等での回収が主力になります。
6]は砂浜や玉石海岸に漂着した油を、その土地に生息している微生物や、他から油の分解が得意な微生物を持ち込んで繁殖させ、油を分解する方法です。油を100%分解することはできないまでも、自然環境の中で水、炭酸ガスのレベルまで分解できるという観点からは、魅力的な方法と言えましょう。しかし微生物の繁殖をサポートするための栄養分の添加等による水域の富栄養化とか、生態系への影響等、充分なアセスメントが望まれます。
米国では、流出した油に対する方法として、前述の6つの方法以外に次のような方法があります。
7] 海上で微生物を投入する。
ただし、海上での使用は、まだ十分に有効性が実証されていない技術であり、現在、その有効性や環境影響についての研究が行われています。1990年のテキサス海岸沖で発生したタンカー(メガ・ボルグ号)の爆発事故の際には、海上を浮遊している油の処理に微生物を利用する手法が実験的に使われました。