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3. 防除の方法

 

流出した油に対する防除には、次の6つの方法があります。

1] 何もしない。

2] 海上で回収する。

3] 海上で燃やす。

4] 海上で分散剤で分散させる。

5] (不幸にして)漂着した油を海浜で回収する。

6] (不幸にして)漂着した油を微生物の助けを借りて分解する。

これらは方法を述べただけのもので、これらの方法を有効にするための道具はいろいろあります。例えばオイルフェンス(正しくはブーム Booms)を用いて油をブロックしたり、誘導したりします。また、分散剤を用いることもあります。分散剤を使用する際は、小型のボートで撹拌を行います。

1]から6]までの方法を説明すると以下のようになります。

1]は自然に任せるというスタンスです。期待しているのは、蒸発による揮散、波浪による自然分散、日光(紫外線)による分解、海中の微生物による分解、軽質分の揮散により重質化した油の沈殿等で、大洋の真っ只中で流出があった場合とか、沿海で軽質油が流出した場合にとられる方法です。

2]が最も現在まで開発が進められた方法で、いろいろな種類の油回収器が市場に出てきています。いわゆる物理的回収法と言われているものです。確かに海という“系”の中から有害な異物(油)を系外に取り除くという意味では最も望ましい方法と言えます。しかし、現在までの大きな災害を与えた油流出事故での回収率は、20%を上回ったことはないということも銘記しておく必要があります。洋上での回収のバリエーションとしては、吸着剤による回収と、ゲル化剤による油の固化とその後の回収があります。

3]は我国では例がありません。我国では、海上交通の激しい海域、岸に近い海域での適用は難しいものと考えられます。米国では、岸から300mの位置で爆破し、原油を燃焼させ、岸に油を漂着させなかったことがあります。

 

 

 

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