このように段階対応という考え方は本質的には防除を行うための“単位”をベースにしています。その一方、油濁の規模は流出した油の量で表されるのが一般的です。
以上の段階対応を整理しますと以下のようになります。
段階1(Tire I):小規模油濁
当該製油所等の防除組織のみで対応可能、すなわち、現場にある資機材での対応をはかる。
段階2(Tire II):中規模油濁
共同防災組織で対応、すなわち、現場の資機材、人員さらに外部からの応援を加えて対応する。
段階3(Tire III):大規模油濁
管区海上保安部等に対応本部を置き、現場の資機材、人員さらに外部からの応援を加えて対応する。
このような段階を想定しておくことにより、効率的に対応の準備を行うことができます。
以上のような想定のもとに計画─緊急時対応計画(Oil Spill Response Contingency Plan)─を企業、自治体、政府で作ることになっております。この計画の根幹となるものは次の6つです。
1] 指揮命令・連絡系統
2] 動員し得る資機材と要員
3] 立案スタッフ・アドバイザー
4] 訓練・演習
5] 回収油等の処理
6] 費用
我が国では海上での指揮・監督は、海上運航・災害防止の主幹行政機関である運輸省/海上保安庁(海上保安部)の長が統轄します。陸上での作業の指揮・監督は通常、地方自治体の長が統轄します。この両者の緊密な連結が必要です。
資機材については、油を取り扱う企業、海上保安部等で、法律─指導に基づき、最低量の備蓄が義務付けられています。事故の影響の大きさを考えると義務量の備蓄では充分ではないため、いろいろな機関、企業で更なる備蓄を行っています。