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2) W/O型エマルジョン

2]のW/O型エマルジョンは1]とは逆に、油の中に水の微粒子が分散したものです。この場合の界面活性物質は当初より原油あるいは重質油製油中に含まれている少量の不純物(窒素、酸素、イオウ等の化合物)と海水中の微量の有機物が考えられます。流出した油は時間とともに、波と接触することにより、油中に水の微粒子を取りこんで行きます。油種、経過時間によっても異なりますが、こうしてできたW/O型エマルジョンは水分が80%に達することもあります。このことは、流出した油の量が見掛け上5倍になることを意味します。このW/O型エマルジョンはべとべとしています。

 

W/O型エマルジョン

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図1-3 W/O型エマルジョン

 

海上に漂っているW/O型エマルジョンは、その外見がクリーム、ゼラチン、卵白を加えて泡立たせた菓子、ムース(Mousse)に似ているのでムースとかチョコレートムース(チョコレートのような色をしているから)と呼ばれます。W/O型エマルジョンの処理方法としては、解乳化剤(Demulsifier)を加え加熱することにより油と水に分けることができます。

 

(4) 流動点

原油または石油製品で分子の大きい(C15以上)パラフィン系炭化水素を多く含むものは、常温では液状でないものもあります。ちょうどグリースのような状態を示すものです。発電用の生焚原油とか低イオウ原油には常温でグリース状になるものがあります。物質が流動性を示すぎりぎりの温度のことを流動点(Pour Point)といいます。生焚原油と低イオウ重油の中には、この流動点が35℃以上のものもあります。つまり、海上に流れ出した際、(このような原油や重油は高い温度50℃前後に温めて輸送します)短時間のうちにグリース状になり、墨やボールのようになります。

 

 

 

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