(3) 溶解性とエマルジョン
水と油は混じり合わないものの代表のようにいわれます。実際には油は水に極めて僅か(ppm 程度)に溶解するものもありますが、溶解しないとして差し支えありません。しかし、溶解(塩が水に溶けるように)はしないが、油は小さな粒になって水の中に比較的安定な状態で存在する場合があります。このような状態のことを分散状態(Dispersed State)とか乳化状態(Emulsified State)といいます。分散された油の量が少ない時はほとんど透明の感じがしますが、油の濃度が増すにつれて透明度は薄れて行きます。このように分散した状態を保っているものをエマルジョン(Emulsion)といいます。エマルジョンは互いに溶解しない二つの物質、この場合、水と油と少量の界面活性物質(Surfactant)があればできます。水と油のエマルジョンの場合、全く異なった二つのタイプのものがあります。
1] O/W型エマルジョン(水中油型エマルジョン):Oil in Water Emulsion
2] W/O型エマルジョン(油中水型エマルジョン):Water in Oil Emulsion
1) O/W型エマルジョン
1]のO/W型エマルジョンは、流出油に油処理剤(Dispersant)を加え、適当に接触する場合にできます。この型のエマルジョンの挙動は水と海水とよく似ています。手をこのエマルジョンの中に入れても油は手につきません。さらさらしているといってよいでしょう。そして、更に大量の水、海水によってどんどん希釈されて行きます。
O/W型エマルジョンは、図1-2のように水の中に油の微粒子が散らばっているものです。類似の例としては牛乳が挙げられます。乳脂肪が水の中に分散したものです。牛乳の場合の界面活性剤は乳蛋白(アミノ酸の集まったもの)です。