2. 物理学的性質
(1) 揮発性
もう一度、表1-1を見てください。1]のガス/LPGは、常温では大気中ですぐ蒸発して液体としては残りません。2]のガソリンはLPGほどではありませんが、容器に入れ大気中に放置するとかなり早い速度で蒸発します。灯油はそれに比べるとゆっくりと蒸発して大気中に拡散します。
3]の軽油になりますと同様の状況では、忘れたころに少し容積が減ったなというくらいです。4]の重油(C重油)や5]のアスファルトはほとんど容積は変わりません。この現象は蒸気圧(Vapor Pressure)が高いものほど常温の大気中では早く蒸発して行くことを示しています。つまり、常温の大気中では軽油より軽い石油製品は早い遅いの差はありますが、いづれ蒸発して大気中に拡散してしまうのです。これに反して重油やアスファルトはほとんど蒸発しないのでいつまでも残ってしまうのです。
油濁用語では、軽質油と中質油を合わせて揮発性油、非持続性油(Volatile Oil, Non-persistent)、重油類を残留性油、持続性油(Persistent Oil)といいます。
(2) 粘度
水を基準にするとガソリンや灯油はざらざらした感じがします。軽油では水より何となくねっとりした感じがします。重油になると更にねっとりし、むしろべとべとした感じがします。このような現象は、これら液体石油製品の組成である炭化水素化合物の分子の動き易さに起因したもので、さらさらしたものを粘度(Viscosity)が低い、ねっとりしたものを粘度がたかいといいます。注意しなくてはならないことは、この粘度は温度と密接な関係があることです。図1-1に粘度と温度の関係を示してあります。温度が高くなるにつれて粘度は低くなり、温度が低くなるにつれて粘度は高くなります。つまり、同じ石油製品でも夏と冬とでは異なることになります(比重も異なります)。