次に組成(成分)について簡単に説明します。
石油炭化水素は四つのグループの化合物群の混合物です、
1] パラフィン系炭化水素(直鎖飽和炭化水素) ヘキサン、オクタン等
2] ナフテン系炭化水素(環状飽和炭化水素) シクロヘキサン等
3] オレフィン系炭化水素(不飽和炭化水素) 天然のものはほとんどない
4] アロマティック系炭化水素(芳香族炭化水素) ベンゼン、トルエン等
この四つのグループの炭化水素も分子量の小さいものから大きいものまで数多くあります。
分子量の小さいものは、粘度が低く(さらさらしている)、分子量の大きいものは粘度が高く(ねっとりしていたり、塊状を呈す)のが普通です。
オレフィン系炭化水素は天然のものでは少ないのであまり気にとめる必要はありません。
パラフィン系炭化水素の中でも分子量が大きいものはパラフィンワックスと呼ばれます。常温では固体です。一部の中国産原油(Taching 原油)やインドネシア産原油(Minas 原油)はこのパラフィンワックスが多いので、水上では塊状、ボール状になることが多いものです。
アロマティック系炭化水素は、いわゆる“亀の甲”の構造を持つグループで一番単純なものはベンゼンです。分子量が大きくなる、つまり、“亀の甲”が沢山つながると段々固体に近づきます。このような化合物を多環芳香族炭化水素といいます。
アスファルトの主成分の一つであるアスファルテンは、この多環芳香族炭化水素です。アスファルトにはこのアスファルテンのほかにレジンと呼ばれる樹脂状のものやその他複雑な構造を持つ炭化水素をも多く含んでいます。
C重油の黒褐色はアスファルテンとその仲間の色なのです。